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「うちの子に限って遺産で揉めることはない」の思い込みが招く“醜い争い”

長谷川裕雅(弁護士・税理士)

2020年12月01日 公開 2022年06月07日 更新

 

「15歳以上であれば誰でも書ける」 有効になる遺言書とは…

遺言は15歳以上であれば未成年であってもできます。ただし、必ず本人の意思が必要です。強制的に書かされた遺言は効力を持ちません。

また、遺言には「遺言能力」の有無が問われます。遺言能力とは、遺言を単独で有効に行うことができる法律上の地位または資格のことです。遺言書を作成する際に「意思能力(※自らが作成しようとする遺言の内容を正確に理解し、その効力が生じることによる結果を弁識しうるに足りる能力)」がなければ、やはり、遺言は無効になります。

遺言を書いても、遺言能力がない状態で書かれたものであるとして、遺言無効確認請求訴訟が相続開始後に提起されることもあります。

遺言者が成年被後見人である場合、原則として遺言はできません。しかし、事理を弁識する能力を一時回復したあとに、医師2人以上の立会いの下で遺言することは可能です。

遺言者が被保佐人や被補助人である場合、遺言時に遺言能力があれば、保佐人や補助人の同意なく遺言を残すことができます。

遺言者が認知症の場合、その重度によって判断が変わってくるようです。一概にはいえませんが、それほど重い状態ではなく、自分がしていることを認識できるのであれば、遺言は認められるケースが多いようです。

ただし、認知症の進行が激しい場合は、認められないとの判例もあります。遺言無効確認請求訴訟では、遺言作成時の遺言者の遺言能力をめぐって、カルテや診断書などの医学的資料を基に、お互いが争います。

なお、遺言はあくまでも書面にして書くことが求められています。遺言者が遺言内容を話した内容をテープレコーダーに録音したり、ビデオに撮影したりしたものは、編集による偽造・変更の可能性があるので、法律上、有効な遺言としては取り扱われません。

 

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