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「家康の黒幕説」か「光秀の生存説」か…大河『麒麟がくる』が張った“本能寺への伏線“

前田慶次(名古屋おもてなし武将隊)

2021年01月09日 公開 2022年06月30日 更新

「家康の黒幕説」か「光秀の生存説」か…大河『麒麟がくる』が張った“本能寺への伏線“

《全国にその名を轟かせる「名古屋おもてなし武将隊」。名古屋城に詰め、観光客をもてなす武将と足軽の10人組である。2009年11月、名古屋開府400年のPR大使として名古屋にゆかりの6人の武将と4人の足軽で名古屋おもてなし武将隊が結成、すでに10年以上にわたり活躍を続けている。

そのうちの一人、前田慶次氏は名古屋城検定に検定過去最高点で合格し同検定の名誉顧問を務め、日本城郭検定にも合格するなど歴史への造詣も深い。

前田慶次氏が自身のYouTubeチャンネル「前田慶次5分で戦国時代チャンネル」にてNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を徹底解説している。本稿ではその一部を紹介する》

※本稿はYouTubeチャンネル「前田慶次5分で戦国時代チャンネル」にて配信された内容を再構成したものです

 

戦に次々と勝利する信長、隠された演出に迫る

「39回 本願寺を叩け」では、情報過多とも言える大量の出来事に加え、結末の締め方が不透明になって参った。

天王寺砦の戦いの描き方と信長の家督問題についてはドラマならではの演出と、内容が濃い故に時間の都合上、描き切れていない所もあった。それでは、説明して参ろう。

 

流されてしまった、長篠の戦いに隠された意味!

戦国時代を語る上でよく出てくる合戦と言えば、桶狭間の戦い、関ヶ原の戦い。そして長篠の戦いである!

織田信長が革命的な戦略を用いて、戦国最強の名を欲しいままにしていた武田軍を打ち破った戦。

『麒麟がくる』においても主要人物である、織田信長、明智光秀、柴田勝家、羽柴秀吉。皆が活躍するし、武田信玄も登場させて期待値も高まる中で、まさかの触れずに時が流れてしまった。

注目すべきは、此度の後半において、徳川家康と築山殿(つきやまどの・奥方)と菊丸の場面。この会話の直前に長篠の戦いがあり、織田・徳川連合軍で共に戦ったにもかかわらず、「織田信長様は三河に興味はない」「信頼できるのは明智殿」と意味深な台詞を出されていた。

これはドラマ上での敢えての演出と見た。徳川の中で織田信長の評価を下げ、明智光秀の評価を高めた。これは、「徳川家康、本能寺の変の黒幕説」と「光秀→天海へ転身説」を暗示させる演出方法と儂は感じた。

この後に、徳川家康は嫡男「信康」(信長の長女と結婚している)を信長の命により失うことになる。

状況的に、徳川家康は信長の命を受けるしかなかった。織田という後ろ盾を持っているからこその徳川の地位でもあった。家を残すため、乱世を生き抜く為には致し方ないことである。

しかしながら、この事件が徳川家康・本能寺の変黒幕説への布石にもなるのではなかろうか。オリジナルキャラクター菊丸は「光秀が信頼できる」と家康に持ち掛ける。

徳川の中で重宝された僧侶、天海という者がおった。この男は「光秀が生き延びて僧侶になったのではないのか?」という逸話がある。菊丸の台詞は、これを示唆させた。もしかすると、本能寺の変の後に家康の命で菊丸が助けにくるやもしれん?これはドラマを最後まで見て確認して参ろう。

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織田家、家督問題の真実

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