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「転職先なしに陥る人」と「上手に転身できる人」の決定的な“意識の差”

黒田悠介(ディスカッションパートナー)

2021年04月26日 公開 2022年10月06日 更新

黒田悠介

グラフィックレコーダーという可能性

わたしはよくイベントに登壇する機会をいただくのですが、そのときにイベントの様子をリアルタイムで整理してくださる方と出会うことがあります。

といっても、書記というわけではありません。文字だけではなく、イラストを活用してトークの全体像やその流れをレコーディングしているのです。

こうした可視化によって、参加者や登壇者は流れを確認しながらトークすることができますし、イベント後に画像データとしてシェアすることで参加者の振り返りにも役立ちます。

こうしたグラフィックによるレコーディングの技術を持った人たちを「グラフィックレコーダー」と呼びます。このところグラフィックレコーダーが増えつつあります。

わたしのイベントでよくご一緒しているグラフィックレコーダーのタカタユナさんは、もともとプレゼン資料作り専門の部署で働いており、そこで伝えるためのデザインという「スキルセット」を身につけたそうです。その仕事は楽しく、構造化するのが好きだ、という「自己理解」もできた。

その後たまたま、自身の「人的ネットワーク」にいたイベント運営者にグラフィックレコーディングをやってほしいという依頼を受けてやってみたところ、自分にマッチする感覚がありのめり込んでいったのだそうです。

ライフピボットの三つの要素である「スキルセット」「人的ネットワーク」「自己理解」に偶然が加わることで実現した隣接可能性の好例と言えます。

タカタさんのように資料作成やデザインを本業としていた人だけでなく、ファシリテーターが場作りのためにグラフィックレコーディングを始め、副業や本業としてのめりこんでいくケースもあるようです。

グラフィックレコーディングは文字通りレコーディングつまり記録としての価値に重点が置かれますが、ファシリテーションに重きを置く場合はグラフィックファシリテーターと呼ばれるようになります。

 

コミュニティオーナーという可能性

COVID19のパンデミック以降、リアルで人に会う機会が減ったことにより、それを補うようにコミュニティに所属したり自分で立ち上げたりする人が増えています。

「ソーシャルディスタンス」がいたるところで意識されるようになりましたが、わたしたちはソーシャルアニマルです。身体的な距離は離れても精神的にはつながっていたい。そんなニーズがコミュニティを盛り上げているように感じます。

これまでも自然発生的なコミュニティはありました。地域のコミュニティや血縁のコミュニティ、宗教のコミュニティなどです。

しかし、地域のコミュニティは人口減少と高齢化で弱体化し、血縁のコミュニティは核家族化で解体され、日本では宗教コミュニティに所属している人の数は減少傾向です。

そういったなかで、自分の居場所や役割を求める人のニーズが人工的なコミュニティを新たに生み出しています。

こうして、自らコミュニティを立ち上げる「コミュニティオーナー」が増えているのです。

コミュニティのサイズは数人から数万人まで幅広い。著名人やSNSでのインフルエンサーが作るコミュニティが目立ちますが、わたしの周りでは決して有名ではない人が着実にコミュニティを成長させているケースが増えてきています。

コミュニティオーナーは、コミュニティ運営の対価としてコミュニティメンバーから月額会費を受け取るカタチが多く見られますし、そのような決済をサポートするサービスも増えています。また、コミュニティで生まれるコンテンツやイベントに対して課金する場合もあります。

一方で、個人向けの価値提供だけではなく、企業向けの価値提供で収益を上げることもできます。

たとえば、企業から案件を受託してコミュニティメンバーと一緒に仕事をしたり(新商品のモニターなど)、コミュニティに対する宣伝費を企業から受け取ったりするケースがそれにあたります。

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オーナーはインフルエンサーでなくてもなれる

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