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研究から見えてきた…履歴書の「性別」が生む”無意識の偏見”

パク・スックチャ(株式会社アパショナータ代表、コンサルタント)

2021年05月11日 公開 2022年02月01日 更新

 

同内容の履歴書で「性別」による評価の例

アンコンシャス・バイアスの影響を確認する代表的な研究例をご紹介しましょう。

ウィスコンシン大学が行なった研究です。米国の大学の心理学の教授に依頼して、その大学の心理学の専任教員を採用するための履歴書の評価を依頼しました。

研究チームは、2種類の職務履歴書を準備しました。2つともまったく同じ学歴、職歴、実績ですが、性別だけを変えました。回答者の半分の教授たちには女性の名前の履歴書を、もう半分の教授たちには男性の名前の履歴書を送り、それぞれの大学で専任教員として採用したいか、評価をお願いしたのです。

結果、同一の内容にもかかわらず、「採用に適切」と答えた割合が、男性名の履歴書は79%。女性名の履歴書は49%と、男性名の方がなんと30ポイントも高く評価されました。

また、「実績を見たい」、「発表した論文を読まないとわからない」など、女性へのネガティブなコメントが男性に比べて4倍も多かったのです。

同様の結果は、女性の教授たちにも見られました。偏見の影響は評価側の性別にかかわらず、共通していたのです。

この研究で明らかになったことは、性別に対する無意識の偏見が存在したこと。その影響により、女性の方がより厳しいレベルを要求されました。

そして、男性は実力より高く、女性は実力より低く評価され、男性が有利になりました。また、その他の数多くの研究でも同じ傾向が表れました。

女性活躍推進というと、「女性にゲタを履かせるのか」と言われますが、研究結果により浮き彫りになったのは、ゲタを履いていたのは男性の方だったという事実です。

1980年代から始まったアンコンシャス・バイアスの研究は、2000年以降に加速し、現在までに膨大な数となっています。研究結果により、「性別」「人種」「移民」「LGBT」「体重」「経済状況」等、さまざまな属性や特質に偏見がもたれることがわかりました。

そしてどの調査でも、偏見をもたれた少数派や非主流派に、不利な結果が出ることも判明したのです。

 

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