専門性も特技もない...実は「普通の人」ほど成果を得やすい理由
2021年11月12日 公開 2021年11月24日 更新
自分の強みは何か。キャリア形成などのために、多くの人が悩むテーマである。起業プロデューサーの田中祐一氏は、高い専門性を持つ一部の人を「カリスマ型」、大多数を占める普通の人を「サポーター型」と呼び、サポーター型にこそ仕事で成果を出すチャンスがあると語る。なぜ、サポーター型の方が結果に結びつきやすいのだろうか。
※本稿は、田中祐一著『書くだけであなたの「強み」が見つかるノート』(SBクリエイティブ)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「本当の強み」で選ばれる人になる
今も多くの人が、自分の強みを見つけ出そうとさまざまなツールを試したり、本を読みあさったりしています。悩み多い日々の中で、すがるような思いで本書を手に取った人もいることでしょう。
断言しますが、自分の専門性や得意技を強みにしようと考えても、いつまでも悩みからは解放されません。
繰り返しますが、仮に得意技だと思えるようなスキルを手にしたとしても賞味期限は不透明ですし、そもそも誰かに必要とされなければ無意味です。
一度あなたに質問させてください。
「なぜ、あなたは強みを手に入れたいのですか?」
あなたが本当に求めているのは、得意技を手に入れることではないはずです。求めているのは「転職したい」「職場の中で評価されたい」「選ばれる人になりたい」「フリーランスとして自由な生活がしたい」などなど。強みを手に入れた、その先の理想の未来ではないでしょうか。
つまり、仕事で周りの人から必要とされること、成果を出して評価され、感謝されることを求めているのです。
あなたが成果を出すうえで決定権を握っているのは、あくまでもあなたの周りにいる他人です。成果は他人が持ってきてくれるものです。
仕事では自分の力だけで成果を出せると思っている人が結構いますが、大きな勘違いです。どんなに実力があっても、上司や会社やクライアント、その先にある市場が満足してくれなければ成果は出せません。逆にいえば、相手が喜んでくれさえすれば、実力がなくても成果は出せます。
僕は、周りの人から「ビジネスがうまくいっている」「成功している」「すごいスキルを持っている」といわれることがありますが、世の中を見渡せば上には上がいます。圧倒的に成功している人と比べたら、自分なんてまだまだ未熟であり、スキルに乏しいのは重々承知しています。
でも、現実に僕の仕事を喜んでくれる人がいるからビジネスが成り立っているわけです。それでいいんじゃないかと思っています。未熟でもスキルがなくても、相手に合わせて求められることに応えられればいいのです。
サポーター型にこそチャンスがある
僕が思うに、サポーター型の人たちには相手に合わせる才能があります。
そもそもカリスマ型と呼ばれる人の多くは、我が道をゆく性格の持ち主です。他人からどう思われるかなど、お構いなしです。
それに対してサポーター型と呼ばれる人は、他人の動向に敏感です。常に空気を読み、他人の顔色をうかがいながら生活しています。
「ついつい周りの目を気にして行動してしまう」
「あまり目立たず、周りに合わせたほうが生きやすい」
僕は、そんなふうに他人からどう思われているかを気にする気持ちがよくわかります。自分にもそういう傾向があるからです。「他人の顔色をうかがう」というとネガティブな響きがありますが、別の面から見れば「他人の考えを想像するのが得意」ともいえます。
サポーター型は相手の出方しだいでいろいろな行動を取ることができます。だったら、自分の強み探しにこだわるのではなく、「相手が求めていることは何か」を考えてそれに応えていくことでチャンスを広げられるはずです。
自分のことなんてわからなくてもいいのです。相手が求めていることさえわかれば、サポーター型でも十分に成果を出せるのですから。
相手が困っていること、助けてほしいことを知ったうえで、「私はそれを応援できます」というポジションに立てば、絶対に選ばれる存在になれます。
これこそが、僕が「後出しじゃんけん」と呼んでいる、本当の強みを発揮する方法ということです。