残業は命令によってするもの
会社は、就業規則等で所定労働時間を定め、労働時間として従業員から提供される基本的な時間を定めています。反対に言えば定めた時間以外の勤務をしてもらうためにはその根拠が必要です。そのために、就業規則には「業務の必要性がある場合、残業を命じる場合がある」という内容の記載が入っています。
ということは、会社側が業務内容や進捗状況等を精査したうえで業務上の必要があると判断し、就業規則に基づいて「所定労働を超えて働いて」という命令の結果、使用者の指揮命令下で労働をするものが「残業」なのです。
そう、定時直前の部長の「今日残って」という声掛けにはちゃんと意味があり、会社側の業務上の必要性の判断がなく、個人の自己判断で「キリがいい所までやってしまおう」や「なんとなく残っている」など勝手に行っていいものではないのです。
在宅勤務時の残業の不明確さ
前述までの段で、在宅勤務時の仕事のスタイルの雲行きが怪しくなってまいりました。
労働時間とは、どんなに場所が離れていようと、進捗状況が見えづらかろうと使用者の指揮命令下で働く時間のことで、勤怠はリアルタイム打刻が基本です。
中には、在宅勤務について事業場外みなし労働時間制を導入して「●時間労働したものとみなす」としていたり、フレックスタイム制を導入し、出社退社のタイミングを従業員に任せる場合もあるでしょう。
事業場外みなし労働制を入れている場合には、何時間働いても「労使で決めた●時間」働いたとなっていますので、「必要に応じて、実態にあったみなし労働時間となっているか労使で確認し、使用者はその結果に応じて業務量等を見直すこと」というガイドラインが出ています。
また、フレックスタイム制で申告は大体9:00-17:00だったが深夜PCで作業しているログが大量に出てきて本人は体調不良になっているなど、「働いている履歴との乖離」の相談は後を絶ちません。
このように放っておけばいくらでも仕事ができる環境だからこそ、本気を出して従業員の労働時間管理、残業の必要性および健康管理について「他者から見た明らかさ」を構築していくしかないのです。