勉強には「視覚」より「聴覚」が重要とされる納得の理由
2022年08月25日 公開 2024年10月21日 更新
私たちは聴覚から言葉を身につける
私たちは、言葉をどのようにして理解し、しゃべれるようになるのでしょうか。言葉は生まれたときから身についているものなのでしょうか。
生まれたばかりの赤ちゃんは、言葉をしゃべることはできません。赤ちゃんが言葉を身につけていく過程にこそ、その秘密があります。
私たちは赤ちゃんだったときに、お父さんやお母さんが話す言葉をたくさん聴いていました。多くの言葉を浴びるなかで赤ちゃんの脳は学習し、そして初めて言葉を使えるようになります。
このとき、脳内では、話される言葉の音声情報を聴覚野が処理し、言語野が言葉を理解し、話すための情報を学習しています。
ここでみなさんにご理解いただきたいのは、言葉は音声によって身につき、理解され、話されるということです。言葉は音声情報として脳内で処理されているのです。
私たちがなにかを考えているときや本を読んでいるときには、言葉を用いているということは前にお話ししました。言葉は音声情報として脳内で処理される必要があるため、私たちが言葉を扱うときには、無意識に音韻表象を行っています。
つまり、なにかを考えているときや本を読んでいるときには、音韻表象が行われているということです。このときには、先に示した流れのように、聴覚野が働いています。したがって「考える」という行為そのものに、聴覚は深くかかわっているといえるのです。
勉強には聴覚が重要である
今までのお話をまとめましょう。
私たちが勉強しているとき、五感を通じて情報を脳にインプットしますが、その後の情報の記憶や、アウトプットに関しては、言葉を用いて考えるという行為がともないます。そのためには聴覚が必須です。
聴覚は、情報のインプットのためだけに使われているのではなく、私たちの思考そのものに深くかかわる感覚なのです。そういう視点に立って考えると、勉強するときには、聴覚が重要であるといえるのです。