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「神が世界を造った」は本当? 宗教を信じない学生に神父はどう語るか

片柳弘史(カトリック司祭)

2022年08月29日 公開 2024年12月16日 更新

「神が世界を造った」は本当? 宗教を信じない学生に神父はどう語るか

安倍晋三・元首相の死により、メディアでは「旧統一教会」をめぐる報道が過熱化。宗教に「逆風」が吹いている。「キリスト教を信じない学生との対話」をテーマに近著を書いたカトリック司祭(神父)が、宗教への疑念に対して答えを投げかける。

※本稿は、片柳弘史著『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

 

「事実ではないが、真実だ」

【神父】聖書は、読んだことがありますか。

【学生】いえ、部分的に読みかじった、聞きかじったという程度です。

【神父】聖書は、旧約聖書と新約聖書という2つの書物から成り立っているのですが、旧約聖書の最初に、神が世界を造る話があります。

闇に包まれ混沌とした世界に、神が光を造り、太陽や月、海や陸、生き物たちを造り、最後に人間を造って世界ができあがったという話です。創世記というのですが、聞いたことがありますか。

【学生】ええ、なんとなく聞いたことがあります。その話に基づいて進化論を否定する人たちがいるとか。どうも非科学的な話ですね。本当に、そんなことを信じているのですか。

【神父】いや、文字通りに歴史的な事実として信じているわけではありません。ですが、この物語が伝えているメッセージは確かに真実だとわたしは信じています。

【学生】「事実ではないが、真実だ」というわけですね。この話に、いったいどんな真実が隠されているというのですか。

【神父】世界ができあがったところで、「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった」(創世記1:31)という記述があります。「それは極めて良かった」という、この一言がとても重要なのです。

 

あなたもわたしも神の最高傑作

【神父】つまり、この世界にあるすべてのものは、神の手によって造られた。だから、この世界にあるものはすべてすばらしい。道端に咲く花も、空を飛ぶ鳥も、森の木々やそこに住むすべての生き物も、海も山も川も、そして、あなたもわたしも、神によって造られ、この世界に生まれてきた。

神によって造られた以上、極めて良いもの、生まれながらに価値のある、すばらしいものに違いない。それが、この物語の中心となるメッセージであり、わたしたちはそのメッセージが真実だと信じているのです。

かつて「スラム街の聖女」と呼ばれ、貧しい人々への奉仕に生涯を捧げたマザー・テレサは、「わたしたち一人ひとりが、神の最高傑作」だと表現しています。

神という陶芸家は、一つひとつの作品を丹精込めて造りあげ、「もうこれ以上はできない」というところまで造り込んでこの世界に送り出す。だから、あなたもわたしも、神の最高傑作だということです。

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一見、何の変哲もない茶碗に価値がある

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