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議員秘書が教える「政治家に向いている人」とは

佐藤孝四朗(国会議員秘書)

2022年09月16日 公開 2024年12月16日 更新

議員秘書が教える「政治家に向いている人」とは

政治家として活躍している人々は、どのようなルートで政治活動をスタートし、選挙に向けてどのような準備をしているのだろうか。国会議員秘書の佐藤孝四朗氏が政治家になるまでのロードマップを紹介する。

※本稿は、佐藤孝四朗著『選挙に出てみたくなる出馬超入門』(インプレス)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

政治家に必要な2つの資質

選挙に挑戦しようと考えはじめた方は、いま一度、政治家に向いているかを自分自身で見直しましょう。もし不向きな要素が見つかったら、それらを克服することが先決です。

ただし、最初から全て政治家向きの要素をもった候補者なんてまず存在しませんから、けっしてここで弱気にならないでください。

それでは、政治家に向いている要素をいくつか挙げてみましょう。政治家に向いている人は、現状の世の中を変えたい人、もしくは、自身が政治家になって何をしたいのかがはっきりしている人です。

もちろんそのやりたいこと、というのは私利私欲のためであってはならないわけで、国や国民、地域や住民のことを考え、何をすべきか明確なイメージがある必要があります。

そして「この人になら任せられる」「この人なら応援したい」と思わせるような、人間としての魅力や親しみやすさ、リーダーシップも必要不可欠です。

自身の政治姿勢や目指している政治家像など、自分の言葉でより多くの人に理解してもらわなければなりません。周囲からの厳しい意見や批判などに対して柔軟に対応し、さまざまな立場の人の意見を取りまとめながらも、自分の考えていることをしっかり伝えられる人が求められるのです。

逆に言えば、自分の考えを人前で表現するのが苦手な人は、現時点では政治家に不向きかもしれません。他人と議論する際に、自分の考え方を整理して相手に伝えることができるかどうか。

これは政治家に大事な資質になってきますので、もし苦手だと思う方がいたら、弁論のトレーニングを積むなどして、克服しておきましょう。第五章でお伝えする、政治塾に参加するのも1つの手段だと思います。

そしてもう1つ大事なこと、それは強い精神力と体力です。「社会を良くするために」という想いで活動していても、批判を受ける場面は少なくありません。そうした場面を乗り越える精神力が必要です。

また、毎日のように人に会ったり、勉強したりと忙しい日々のため、なかなかゆっくり休める日は少ないかもしれません。歳費や議員報酬といった政治家の給料は、税金から支払われている以上、人のために尽力しなければならず、有権者の代表としての務めを果たさなくてはなりません。

そのためには、何よりも体力が必要です。これも政治家に必要な大事な資質なのです。

 

おすすめは「地方選挙」

さていよいよ出馬を決意したら、もちろん大事なのは「志」ですが、あなたが政治家になって何をしたいか、具体的には、「国」と「地方」のどちらにチャレンジするのかを決めましょう。

筆者のおすすめは、「地方選挙」です。今や国政選挙よりも地方選挙の方が格段に面白くなっており、敷居も低くなってきています。

学歴も問われず、カンバンなしでも工夫や努力、頑張りで十分に戦える選挙だと思います。また、本書が発売されるころには、第26回参議院選挙が終わり、令和5年(2023年)4月の第20回統一地方選挙が視野に入ってきます。

統一地方選挙についてご説明しておきましょう。(明るい選挙推進協会より)

地方公共団体の議会の議員又は長の選挙は、その団体が自主的に期日を定めて執行するというのが原則ですが、特例を定める法律によって全国的に期日を統一して行うものを統一地方選挙と言います。有権者の選挙への意識を全国的に高め、また選挙事務や費用を節減する目的で、4年ごとに行われています。

第二次世界大戦後、新しい地方自治制度が作られ、昭和22年4月に全地方公共団体で一斉に選挙が行われたのが第1回にあたります。地方公共団体の議会の議員又は長の任期は4年なので、それ以降任期の途中で議会の解散や長の退職といったことがなければ、4年ごとに多くの団体で任期満了を迎えることになります。

これらの地方公共団体がバラバラに期日を定めて選挙を行うことになると、選挙事務が輻輳()しますし、有権者も選挙運動をする者も混乱を免れないことになります。

また、期日を統一して行えば、国民の地方自治や地方選挙に対する関心を高めることになります。そこで、2回目にあたる昭和26年以降も、4年ごとに特例法を作り、期日を統一して地方選挙が行われてきました。

その後、市町村の合併、長の死亡や辞職、議会の解散などにより、統一地方選挙での選挙の実施率(統一率)は下がってきてはいますが、前回平成31年には全国で982件の選挙が行われ(執行率27.46%)、改選された首長と議員は総計15268人(改選率44.7%)におよび、地方自治体における各級の定数に対する割合の4割以上が改選の対象となっています。

明るい選挙推進協会の調査では、第19回の統一選における平均競争率(立候補者数を改選定数で割った値)を選挙の種類別に見ると、全体的には前々回(1.26)とほぼ同じ競争率(1.23)でした。

都道府県知事選挙、町村長選挙以外の選挙の競争率は下がっていました。無投票当選率は、第19回は12.4%と前々回(11.4%)より1.0ポイント上昇し、なかでも都道府県議選挙は前々回の21.9%から26.9%へ大幅に上昇しているほか、特別区議選挙を除き、市長選挙、町村長選挙、指定都市市議選挙、町村議選挙も前々回を上回りました。

人口減少と高齢化が進む地域に端を発した地方議員のなり手不足は、前回の統一選のトピックの1つとしてもたびたび報道されていました。

このように地方議員のなり手不足が増えていると同時に、地方議員の競争率が下がっているわけです。これをチャンスと捉えてみませんか。

特に町村議会議員に至っては、欠員が生じている自治体もあるようです。主たる原因は議員報酬の低さにあるようですが、そうした自治体では議員報酬の見直しも検討されはじめています。

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