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雑談ばかりの“1on1ミーティング”が逆効果になる理由

伊庭正康(らしさラボ代表)

2022年10月25日 公開

 

オンラインだからこそ「褒める」機会を増やす

1on1ミーティングの次のステップは「褒める」です。

褒め方にもやはり、コツがあります。そのコツとは、事実を"具体的"に褒めること。大事なことは"具体性"です。

たとえば、「よく頑張っているよね」だけでは、褒めていることにはなりません。むしろ、適当な感じに見え、モチベーションを下げてしまう恐れすらあります。

ここで、立教大学の中原淳教授が提唱するSBI情報の考え方がとても参考になります。SBIとは状況(situation)、行動(behavior)、成果(impact)の3つの要素を指し、この要素でフィードバックをしてあげると、本人にとって納得できるというもの。

褒める際にも、このSBI情報を使うといいでしょう。

「SBI情報」で褒める
・S:状況 「先週、金曜日」
・B:行動 「高橋さんを手伝ってあげていたよね」
・I:成果  「高橋さん、誰にも相談できなかったらしく、とても喜んでいたよ」

このようなSBI情報を添えた上で、感謝を伝えるのです。部下は、こう思うでしょう。「よく、見てくれているな」と。

しかし、こうした具体的に褒める手法が今、少々難しい状況になっています。原因はコロナ禍におけるリモートワークやフリーアドレスの進展です。管理職の方からはよく、こんな悩みを相談されます。

「リモートワーク、フリーアドレスになり、部下の状況が見えなくなってきている」

それはつまり、部下を褒めるための情報も手に入りにくくなっているということを指します。

このような状況だからこそ、意識してほしいことがあります。三角推量(トライアンギュレーション)を通じて、部下の情報を入手することです。

トライアンギュレーションとは、次の3つの方向から、複数の方法で情報を入手することを言います。

【三角推量(トライアンギュレーション)】
(1)「観察(自分から見た視点)」
(2)「部下との会話や面談(相手の視点)」
(3)「第三者の声(第三者から見た視点)」

最初の2つは説明するまでもないでしょう。職場で部下を観察し、会話や面談の中からも情報を集めます。

しかし、それらが難しくなっている昨今、大事なのはその先です。「第三者の声」、つまり同僚から得られる情報が重要なのです。

具体的には、職場を歩き回り、その部下と一緒に仕事をしている先輩社員などをつかまえ、「これから〇〇さんと面談があるんだけど、褒めてあげることはあるかな?」などと聞いたりすることで、情報を集めていきます。

もちろん、あわせて「〇〇さんが困っていそうなことはある?」「〇〇さんが改善しておいたほうがいいことはある?」などと、上司が気づけない"盲点となる情報"について入手しておいてもいいでしょう。

直接顔を合わせる機会が減ってしまったからこそ、第三者の視点で情報量を確保することが大事なのです。

 

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