「エッセイに書けなかった部分」がドラマでは表現されている
岸田家にとっての大ニュースが、エッセイ本「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」のテレビドラマ化です。(NHK BSプレミアム・BS4Kにて2023年5月14日(日)スタート予定<全10話>)これはうれしかったですね。しかし、一方で「どうやってドラマ化するんだろう? ただの日記なのに」と心配にもなりました(笑)。
実は、エッセイの中で書けなかった部分もあったんです。自分の中でもまだモヤモヤしていて、そのまま出すと誰かを傷つけてしまうかもしれない言葉になりそうで。
ところが、脚本家さんがそこを全部汲み取ってくださって、「こういうことを友達に言いたかった」とか「こういうお礼を言いたかった」というのがそのまま表現されていたり、うまく言えなくてそのまま喧嘩別れのようになっていた人間関係が、ドラマの中では私が願った形で続いていたり。自分でも気づけなかった一面を見せられたような思いでした。
「もしかしたら、こういう未来もあったのかも」ってことをまるで証明してくださったようで、すごく嬉しかったんです。脚本家さんは本を読み込んで、私の文章を愛してくれて書いてくださったんだなあと思えました。誰かの思い出と共鳴して、今の自分の愛が届けばいいなと思ってエッセイを書いたこと、本当によかったと思いました。
そして、ダウン症の少年が連続ドラマで主演級の役を演じるのは日本で初めてだそうで、それにも感激しています。私のような家族にとってもすごいことです。人権モノや感動モノじゃなく、普通の家族のコメディで、ダウン症の役者さんが演じるのが当たり前になったら、日常でも見え方が変わると思うので。
去年大ヒットした恋愛ドラマの影響で、手話を習う人が急増したそうですが、今回のこともドラマだからこその大きな意味や可能性を教えてもらえたようで嬉しかったですね。そして、父役が錦戸亮くん。すごいかっこいいよ、お父さん!(笑)。
漫画で伝えることにも挑戦してみたい
作家としては、『note』では引き続き週1本は変わらず書き続けていきます。一方で、違うこともしてみたくって、実は漫画に挑戦!下手なんですけどね、好きなので。
著作の表紙や挿絵、サイン会でお名前に添えるなど、機会があれば描いてはいたし、実は作家になる前は漫画家を目指そうと思ったこともありました。そのときは断念したんですが、今回は違いますよ、『目指せ!日曜6時台のアニメ化』です(笑)。
実は、以前サイン会に来てくださった親子から「小学生の子どもがファンで本も読んでいます」と言われたんです。そのとき正直、子どもの読者は想定していなかったので「ごめんな、わかりづらかったよなあ」って思って。それで、もう少しやさしい表現方法がないかなとひらめいたのが、エッセイを漫画で表現することでした。
ふと「昭和のサザエさんや平成のちびまる子ちゃんのような存在が令和にはまだないよな」と。どうせなら、そんな存在を目指してみようかなって思っています。最終形がコミックエッセイなのか、アニメーションなのか、そもそも漫画が書き終わるのかもわかりませんけどね、飽きっぽいので(笑)。