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生き方

ハーバード大教授が明かす「不安な感情をコントロールする」5つのステップ

ロバート・ウォールディンガー(ハーバード大学医学大学院教授)、マーク・シュルツ(ハーバード成人発達研究副責任者)

2023年07月19日 公開 2024年12月16日 更新

ハーバード大学の84年の「幸福研究」が示した幸せな人生を生きるために必要なもの――それは「人間関係」だった。

しかし、よい人間関係を築くには、自身の心の安定を保つことも大切だ。例えば困難や大きなストレスといった問題に直面したとき。感情に振り回されず対処するにはどうしたらよいだろうか。

※本稿は、ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ著『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』(&books/辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

出来事をどうとらえ、どう対処するか

筆者らは、人間関係の問題に正面から立ち向かう場合、または、問題を回避する場合、人生全体にどのような影響が生じるのかという問いを立て、本研究のデータを活用して研究した。

すると、中年期に人間関係の問題を話題にしたがらず、回避していた人は、30年後の幸福度が低かった。問題を避けたり無視したりすると回答した被験者は、問題に正面から向き合おうとする被験者より、記憶力が衰え、生活への満足度も低くなっていた。

人生は試練の連続だ。昨日はうまくいったやり方が、今日は通用しないかもしれない。また、人間関係のタイプによって、対処法も変わる。

10代の子ども相手の口論なら冗談で場を和ますこともできるが、飼い犬のことで揉めている隣人が相手ならそうはいかない。家庭内の諍いがヒートアップしたときには、相手の手をとって話しかけてもいいだろうが、職場で同じことをしても上司の評価は得られないだろう。

さまざまな方法を身につけ、問題や状況にふさわしい方法で臨機応変に対処する必要がある。

研究から得られた1つの教訓は、柔軟に対応することの大切さだ。本研究の被験者のなかには、信じられないほど頑固な人々がいる。問題への対処法はこれだと決めたら、そのやり方に固執する。うまくいくこともあるが、お手上げになる場合もある。

良きにつけ悪しきにつけ、また大小を問わず、感情をかきたてられる出来事に遭遇すると、反応は即座に起こる。心は感情に乗っ取られ、なすがままになってしまう。だが実際には、感情は想像以上に思考の影響を受けている。

今では、多くの研究により、出来事に対する認識が感情を左右することがわかっている。だが、科学が客観的証拠を示す前から、人類はこの事実を理解していた。

聖書には「心が喜びを抱くと体が健やかになるが、心が沈むと骨まで枯れる」とある(箴言17章22節)。

ストア派の哲学者エピクテトスは「人が不安になるのは、出来事そのものではなく、それに対する解釈によってである」と記している。

ブッダは「物事を部分ではなく全体として見ることができる者は、自分もまた感情や知覚、思考、意識が相互に結びついた相互依存の縁起の中にあると知っている」と述べている。

感情に振り回される必要はない。私たちが出来事をどうとらえ、どう対処するかが重要だ。

 

WISERモデルで反射的な感情をコントロールする

感情には、ストレス要因が知覚を刺激し、それが反応を引き起こして何らかの結果が生じるという一連のプロセスがある。この流れをさらにしっかり観察すると、隠れていた感情処理の各ステップが見えてくる。

医学研究者が身体の微細なプロセスの観察から治療法を見出すように、感情のプロセスをミクロのレベルで精査すると、大きな可能性が開けてくる。

これから紹介するモデルは、感情の反応のスピードを落とし、心の顕微鏡で観察するための方法だ。この方法を心のポケットにしまっておけば、いつ、どんな感情がわいてきても活用できる。

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第1ステップ...観察(心の一時停止ボタンを押す)

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