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生き方

「すれ違ってしまった相手」と“心のボタン”をかけ直す方法

中山和義(心理カウンセラー)

2012年07月06日 公開 2022年12月27日 更新

どんなにコミュニケーションのテクニックを身に付けても、相手のことを考えない自分勝手な生き方をしていたら、人との関係を作ることはできません。

毎日の過ごし方で、その人の表情や態度に、勝手さが表れてしまうので、相手から敬遠されてしまいます。

良い人間関係を築きたいと思うのならば、1日をどのように過ごすかといった、毎日の心構えが重要になります。その考え方が行動に結びついて習慣になれば、多くの人が関係を結びたくなるからです。

どのようなことを毎日の習慣にすれば良いのでしょうか?

※本稿は、中山和義 著『すれ違ってしまった相手との心の修復法』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

笑顔を習慣にする

アナウンサーになったばかりのある女性が
「ニュースを読むときのあなたの笑顔は酷い。明るいニュースなのに、楽しそうに見えない」
と先輩から指摘されて、

「どうすれば、笑顔が作れるのだろう」
と悩んでいました。

ある日、電車に乗っているときに、とても笑顔が素敵な女性に出会ったので、
「どうしたら、そんな笑顔を作れるんですか?」
と聞いてみました。

 「私の笑顔を素晴らしいと、あなたが思ってくれたのなら、それはきっと、母のおかげです」
とその女性は微笑みながら、お母さんとの思い出を話してくれました。

「私の母はいつも、笑顔でした。私が結婚した後も嫁ぎ先に遊びに来ると、家が散らかっていたり、私が愚痴を話したりしても、笑顔で話を聞いてくれました。『お前は本当にがんばっているね。お母さんは幸せだよ』と必ず言ってくれました。他の兄弟の家に行っても同じような様子でしたので、みんなは、母が遊びに来るのが楽しみでした。

そんな母が数年前に入院したとき、本当に多くの人がお見舞いに来てくれました。具合が悪いのにもかかわらず『忙しいのに来てくれてありがとう。私は幸せものだ』と精一杯の笑顔でお礼を言っていました。

そして、母が亡くなるかもしれないと伝わったときには、家族はもちろん、親戚中の人が集まって、最期を見守りました。

亡くなるとき、静かに目を閉じた母の顔は、いつもと同じ笑顔でした。『私もお母さんのように、死にたい』それ以来、そう思って、いつも笑顔でいるようにしているんです」

アナウンサーの女性は、この話を聞いてからいつも笑顔でいるように努力しました。その結果、ニュースを読むときにも自然な笑顔ができるようになりました。

彼女のように普段、笑顔で過ごしていない人が、人間関係を作りたいと思ったときだけ、無理に笑顔を作ろうと思ってもできません。笑顔を習慣にする必要があります。

笑顔は楽しいときや嬉しいときに、素直に表現することによって、スポーツで筋肉を鍛えるように作り上げることができます。

もしも、私は魅力的な笑顔を作ることができないと思っていたら、鏡を見ながら、楽しかったことを思い出して、笑顔を作ってみてください。最初は、ぎこちなくても、練習することで、表情が豊かになって素晴らしい笑顔を作れるようになります。

人間関係が上手くいかないと、どうしても悩みごとが多くなるので、笑顔よりも悩んでいる表情が多くなります。その結果、「あの人と一緒にいてもつまらなそう」とか、「悩んでいるみたいだから声をかけないでおこう」と思われて、悪い循環ができてしまいます。

大切な人との人間関係を築きたいのならば、その人の前にいるときだけでも、悩みを忘れて、笑顔を作る努力が必要です。

笑顔が素晴らしくなったアナウンサーの女性に、ある人が
「笑顔が大切だというけれども、あなたはアナウンサーで成功しているから、毎日、楽しいことばかりで、笑顔でいられる。私は毎日がつまらないから笑顔なんて作れない」
と反論しました。

彼女は
「いいことばかりあるから、笑っているのではないんです。笑っているからいいことがあるんです」
と答えました。

人間関係が上手くいっている人は
「あの人はどんなときでも、楽しそうだね」
と言われるくらいに、いつも笑顔でいることが習慣になっています。

笑顔は周りの人を惹きつけます。怖い顔をしている人や悲しい表情をしている人の周りにはだれも集まりません。人間関係を良くするために、笑顔と同じように感謝をする習慣をつける必要があります。次は感謝について、説明します。

 

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日常の幸せに感謝する

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