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刺激が苦手なのは遺伝の関係...「内向型」と「外向型」を分ける科学的な根拠

ティボ・ムリス(著述家,ライフコーチ)

2023年10月18日 公開 2024年12月16日 更新

あなたは自分が内向型だと思いますか? 外向型だと思いますか?外向的な人が目立つ世の中なので、内向的な人は自分を責めたり、内向的であることに恥ずかしさを感じていたりするかもしれません。

しかし、内向的であることは悪いことではありません。内向性も外向性も一つの性質でしかなく、科学的にもその違いは明確です。自身も内向型であるというティボ・ムリスさんがその違いを解説します。

※本稿は『「ひとりが好きな人」の上手な生き方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。

 

内向型は外向型より外部の刺激を受けやすい

内向性と外向性のどちらになるかは、遺伝によってかなり決まっているようで、変えることはできない。それは自分らしさの一部なのだ。

とはいえ内向型の人が外向型のように振る舞うことはできるし、その逆も可能だが、いつまでも続けられるわけではない。内向型の人は本来の状態に戻ってエネルギーを補充する必要がある。

内向型の人が外向型の人と違うのは、精神的エネルギーの生産と消費の方法である。外向型の人は外界から多くの刺激を必要としている。

もしそれが得られなければ、エネルギーが消耗し、退屈や孤独、疲労を感じるようになる。

一方、内向型の人は外界の刺激をあまり必要とせず、社交の場で過ごす時間はエネルギーの消耗につながりやすい。

そのため、内向型の人はなるべく社交の場から身を遠ざけ、自分らしく振る舞うためにひとりで過ごすようになる。

 

なぜ内向型の人は外界からの刺激を必要としないのか?

外向型の人が外界からの刺激をたくさん必要としているのには、科学的な理由がある。

外向型の人は内向型の人より神経伝達物質ドーパミンに敏感なのだ。実際、外向型の人と内向型の人では、優勢な神経伝達物質が異なる。

内向型の人はアセチルコリンを主な神経伝達物質として使い、外向型の人ではドーパミンがその役割を果たす。アセチルコリンは思考と感情を通じて生産され、集中力を研ぎ澄まし、記憶力を改善し、幸福感を高める。

したがって、内向型の人は思考、観察、熟慮に時間を使うことによって、自分を刺激することができるのである。

一方、外向型の人は、より多くのドーパミンを生産する必要があり、そのためにはたいていアドレナリンが必要になる。活動を増やすことと刺激を求めることは、どちらもアドレナリンを増やすのに効果的な方法だ。

ドーパミンとアドレナリンが必要になるのは、外向型の人が内向型の人より大きなリスクをとりたがる主な理由である。

リスクをとることは、外向型の人に必要な刺激を与えてくれる。彼らはひとりでいると退屈しやすい。

その結果、外向型の人は刺激があまり得られないと、内向型の人より集中力を失いやすく、気分が沈みがちになる。

異なる神経伝達物質の使用が内向型の人と外向型の人の違いを説明できることについて、マーティン・レイニー博士は次のように述べている。

「私の見解では、神経伝達物質が神経経路を通過することと、それが自律神経系の各部位にどのようにつながっているかが、気質の謎を解く大きなカギになる。

外向型の人はエネルギーを消費するドーパミンとアドレナリンといった交感神経系と深いかかわりがあるのに対し、内向型の人はエネルギーを保存するアセチルコリンという副交感神経系と深いかかわりがある」

別の実験では、内向型の人は外向型の人より外部の刺激を受けやすいことがわかった。この感受性の違いが、騒がしい環境やにぎやかな場所に身をおくと、内向型の人が刺激を受けすぎるのに対し、外向型の人がますます活発になる原因である。

ドイツの心理学者ハンス・アイゼンク博士は1967年の実験で、被験者を内向型と外向型に分けて、それぞれのタイプの人たちにレモンジュースを飲ませ、唾液の分泌に違いがあるかどうかを調べた。

すると博士の予想どおり、内向型の人は外向型の人より多くの唾液を分泌し、内向型の人は感覚刺激に興奮しやすいことがわかった。

さらに別の有名な実験では、内向型の人と外向型の人が難しいワードゲームに参加するよう指示された。そのゲームは試行錯誤を通じて学習するものだった。参加者たちはノイズが流れるヘッドフォンの着用が義務づけられ、自由に音量を調整することが許された。

その結果、外向型の人は平均75デシベルに、内向型の人は平均55デシベルに音量を調整した。興味深いことに、それぞれの状況のもとで、外向型の人と内向型の人は同じように刺激を受け、同じようにうまくプレーした。

驚くべきことに、外向型の人が内向型の人の選んだノイズレベルでゲームをすると、その逆のパターンもそうだが、両者のパフォーマンスが低下した。

つまり、外向型の人は刺激が足りず、内向型の人は刺激が強すぎて、それぞれの本来のパフォーマンスを下回る結果につながったのである。

結局、内向型の人は外向型の人より小さな刺激に反応しやすいということだ。私たちは内向型だから、比較的小さな感覚刺激のほうがうまく機能する。一方、外向型の人がうまく機能するためには、より多くの刺激にさらされる必要がある。

ただし、外向型と内向型のあいだには、両方の性格を合わせ持つ「両向型」が存在する。ほとんどの人は内向型と外向型のふたつしか選択肢がないと思いがちだが、実際には、このふたつは程度の差こそあれ、長い物差しの両端にある。

あなたはこの物差しのどのあたりに自分を位置づけるだろうか?

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「内向性」と「恥ずかしがり」は同じではない

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