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人見知りの克服に最適! 緊張が楽しいに変わる「自己紹介の力」

大澤正彦(日本大学文理学部准教授)

2024年07月29日 公開 2024年08月07日 更新

「ドラえもんをつくる」という夢を持つ研究者の大澤正彦氏は、人前で話すことが苦手な人でも、自己紹介を練習することで自信を持ち、新しい場所でも飛び込んでいけるようになると語ります。自己紹介がもたらす効果について、書籍『じぶんの話をしよう』から、ご紹介します。

※本稿は大澤正彦著『じぶんの話をしよう。 成功を引き寄せる自己紹介の教科書』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

自己紹介とは、意思決定の指針である

私は「ドラえもんをつくる」という自己紹介ができるから、人生の意思決定に悩むことが人よりずいぶん少ないと思います。

例えば、人生にはいろんな選択肢があります。どちらに進むべきか迷う場面も多くあります。私には、言語化された夢があるので、「どちらの選択肢がドラえもんに近づけるだろう?」と自問自答して、自ら道を選ぶことができます。つまり、自己紹介で語る夢や目的、やりたいことなどが常に意思決定の指針の役割を果たしてくれるので、人生の選択に悩まないのです。

これは、Bさんが言ってくれていたことです。学生Bさんは、「究極の欲張り人間になる」という目標を立てたからこそ、「どっちが欲張り人間になれるだろう?」と自問自答して、「こっちだ!」と選択できるようになった。決断に迷わなくなったし、学生生活でわくわくが増えたと言います。

指針があれば迷わずに済みますが、指針がなければ、どちらを選ぼうか迷うのは当然です。人生に迷わないために、自己紹介の練習をして夢を言語化しておくことはとても有効な手段なのです。こうした指針は、日常生活でのちょっとした場面での判断基準にも使うことができます。

 

やれと言われたこと以外にも

例えば、自己紹介を練習している私の学生たちは、夢ややりたいことが明確なので、自分の夢に近づくためなら必須である私の授業ですら「サボる」という選択をして、大手IT企業のイベントに参加したり、企業へプレゼンしに行ったりしています。

授業をサボると聞くとよくないイメージかもしれませんが、私は、本人が自分で判断し、決めたことなら、授業をサボることも大いに結構だと思っています。

「やれと言われたことをやる」習慣が染みついている学生は多いように思えます。やれと言われたことをやるのも、一つの価値軸なので否定はしません。しかし、その価値軸からは「授業をサボる」という発想は生まれないでしょう。

一方、自分の中に指針があれば、ただ単に「やれ」と言われたからやるのではなく、その指針に照らし合わせたうえで「やる」を選択することができます。あるいは、「やれ」と言われたけれども、「こっちのほうが大事」と思えるものがあれば、そちらを選ぶこともできます。

自分で判断して行動を選ぶ。授業に出るにしても、自分で判断して「授業に出る」を選ぶ。このことが大事です。

自己紹介ができる人は、それができる人です。その意味で、堂々と私の授業を欠席することや、欠席してまで得たいものを語ってくれる学生のことを心から尊敬していますし、それをキラキラした顔で伝えにきてくれることを本当にうれしく思っているのです。

 

エラーと修正をくり返していく

夢ややりたいことがなければ指針も持てないわけで、夢は何でもいいのです。夢がないからと足踏みをしているくらいなら、とりあえずの夢を指針にして、その指針にもとづいて行動しましょう。

仮に、あなたも「ドラえもんをつくる」を自分の夢としてみてもいいんです。「どちらを選択したらドラえもんをつくれるだろう?」という基準で日々意思決定していくと、そのうちエラーが起きます。ドラえもんをつくるならこちらの選択肢だけれど、自分はあちらを選びたいな。自分の内なる欲求に気づいたら、仮設定した指針を自分に合ったものへ最適化するチャンスです。

選びたいほうを自分の新しい指針にして、意思決定をくり返していきます。エラーと修正をくり返していくうちに、自分の肚落ちする指針に辿り着くはずです。指針がさし示す方向に、あなたの夢があります。自己紹介を練習すれば、指針ができて人生に迷わない。そのうえ、普段から指針をブラッシュアップしていけば、おのずと夢が見つかっていく。自己紹介を練習すると、そんないいことがあるのです。

 

話すことが得意じゃない人こそ...

自分から話すのが得意ではなかったり、人見知りなところがある人にとっては、自己紹介は"お守り"になります。新しい出会いを求めて、新しい場所に飛び込んでいくとき、その場所で自分に何ができるか分からない、何か質問されたらどうしよう......慣れていないうちはどうしても不安に感じてしまいますよね。

そんなときこそ、自己紹介のフレーズを一つのパターンでもいいので持っておく。それがお守り代わりになるというわけです。

例えば「ドラえもんをつくるのが夢です」のように、自分が何者かを伝えられる一言があれば、初めての場所にも飛び込む勇気が湧いてきます。

 

運がよくなる!?

また、自己紹介を練習していくと、自分は今どういう人と出会いたいのか、どういう人とは今は距離を置きたいのか、なども自然な形で自己紹介に乗せることができるようになります。「近づきたい(引力)」と「近づきたくない(斥力)」を自在に設計できるのです。すると、自己紹介をするたびに、自然と近づきたい人が近寄ってきて、近づきたくない人は遠ざかっていきます。

つまり、出会いたい人と出会える確率が高くなります! その意味でも、「自己紹介は、運がよくなるための"お守り"である」とも言えます。

 

どこへでも飛び込んでいける

いろんな角度から「自己紹介とは何か」を語ってきましたが、この章のまとめとしてお伝えしたいのは、「自己紹介とは、プラチナチケットである」ということです。自己紹介をお守りとして携さえれば、どこへでも飛び込んでいく勇気が湧いてきます。

飛び込んだ先で出会いたい人に出会い、ほしいチャンスを手に入れることもできる。つまり自己紹介は、夢に近づくためのプラチナチケットなのです!

また、自己紹介ができれば、自分で飛び込んでいくだけでなく、チャンスに出会えそうな場所に連れていってもらえる機会も増えていきます。実際に大澤研やRINGSでは、自己紹介ができる学生から外部のイベントに連れ出しています。自己紹介の練習を通して、自分の夢ややりたいことが言語化できている人には、「この場所に連れていくと彼/彼女にとってプラスになりそうだ」と、こちらからも具体的なサポートができます。

 

著者紹介

大澤正彦(おおさわ・まさひこ)

日本大学文理学部准教授/次世代社会研究センター(RINGS)センター長

1993 年生まれ。日本大学文理学部准教授/次世代社会研究センター(RINGS)センター長。東京工業大
学附属科学技術高校情報システム分野、慶応義塾大学理工学部情報工学科をいずれも主席で卒業。研
究テーマはHuman-Agent Interaction(HAI)、全脳アーキテクチャなどを通した、人とかかわる汎用人工知能の実現。Forbes JAPAN「日本発『世界を変える30 歳未満』30 人」に選ばれる。著書に『ドラえもんを本気でつくる』(PHP 新書)がある。夢はドラえもんをつくること。

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