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成果を上げる若手社員の、上司からの信頼を得る「3つの質問法」

原邦雄(株式会社スパイラルアップ代表取締役)

2024年10月04日 公開

人が成長する上で「ほめられたい」という欲求はとても大切なものですが、上司からほめられる新人とほめられない新人の間にはどのような差があるのでしょうか?その後の成長を左右する「ほめられ行動」について、人材育成メソッド「ほめ育」の開発者で、人材研修の専門家、株式会社スパイラルアップ代表取締役の原邦雄氏が解説します。

※本稿は、原邦雄著「社会人3年目までの、ほめられる技術」(ぱる出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「結果」ではなく「成果」にとことんこだわれ

体が大きくなるときには成長痛を伴うように、皆さんが成長するときには必ず"厳しさ"という痛みが必要です。

もちろん私は、ほめることの素晴らしさや、そのことがもつ底知れぬパワーを誰よりも理解しているつもりです。でも、だからこそ安易にはほめません。特にほめるのは、成果につながるプロセスを行ったときです。「結果」ではありません。

「結果」というのは、どんな形でも出るもの。プラスの結果もあれば、マイナスの結果もあります。頑張らなくても努力しなくても、結果は出るわけです。

一方の「成果」とは「成し遂げて得られる良い結果」であり、狙ってプラスの結果を出すものです。単なる結果に甘んじていては、人は育ちません。人は成果を挙げてこそ、成長します。

「これまでできなかった仕事ができるようになった」「分からなかったことが、分かるようになった」―中身の大小はともかく、自身がより高みに上れることが成果であり、人が成長した結果が、成果なのです。成果を出してこそ、人はほめられる。そのことを強く意識してほしいと思います。

企業人という名のプロフェッショナル、または起業人でも良いでしょう。学生というアマチュアとの差は、成果を求められるのか、単なる結果でよいのかという違いです。

社会人になれば数値目標を持ち、達成していかなくてはなりません。それが仕事のやりがいです。違う言い方をすれば、目標をクリアする習慣が身につかない人は、やりがいのある職場環境を作れないということ。出世もありません。

もしも学生気分が抜けていないなら、今日からは結果ではなく「成果」を目指す人になってください。成果を絶対に出してやるんだという心の強さやエネルギー、つまり"プロ意識"を持ってほしいのです。

 

上司からの信頼を高める「質問法」

「上司に何をどう聞くか」に少し意識を傾けるだけで、「しっかり時間をかけて考えてきた質問だな」と評価が上がります。

とはいっても、「どう質問すればいいんだろう?」という方も多いでしょう。いくつか質問法の「型」を知っておくと質問しやすくなります。

一つ目は「秘書的質問法」です。

上司は日々さまざまなタスクを抱えており多忙です。そんなとき、秘書のサポートのような質問で助けられることがあります。

「1週間後のクライアントへの訪問ですが、お土産は私が準備しましょうか?」

この質問が上司へのリマインドになり、「おお、そうだった」「よく覚えていてくれたな」ときっと重宝されます。

二つ目は「問題解決型質問」です。

たとえば「今回のプロジェクトがうまく進まない原因って何でしょうか?」といったように、一緒に案件を進める上司に質問を投げかけてみましょう。

これは「教えてほしい」という問いかけの言葉でありながら、「一緒に自分も考えたい」という、問題解決に向けて協働する想いが込められています。「何とか前に進めたいので、知恵を貸してください」といったスタンスの質問方法なのです。

これを聞いた上司は、喜んで「そうだなあ...」と一緒に考えたり、上司ならではの考えや知恵を授けてくれたりするでしょう。

問題解決型質問をするときのポイントは、軸足はあくまで自分に置いておくということ。「どうすればいいんですか?」という一方通行の問いかけでは「少しは自分で考えろよ」とダメ出しされ、評価を下げることにもなりかねません。

三つ目は、「チェックイン型質問」です。

この質問は、コミュニケーションを円滑にしたいときにおすすめです。

質問内容は仕事から離れ、上司がプライベートで大切にしていることを話題にします。たとえば「この前のゴルフ、どうでしたか?」「お子さんの野球の試合、どうでしたか?」といった具合です。上司の顔が思わずほころぶような問いかけをしましょう。

 

挨拶の本当の意味を知ると評価が変わる

「挨拶」の語源を知っている方は、どれくらいいるでしょうか? 挨拶という言葉は、「一挨一拶(いちあいいちさつ)」という禅宗の言葉に由来します。

「一挨一拶」とは、師匠が弟子と押し問答をして、修行や悟りの深さを試すこと。「挨」は「心を開いて近づく」、「拶」には「迫る、近づく」という意味があります。つまり挨拶という言葉には「自分の心を開いて、相手に近づく」という意味が込められているのです。

誰かから「おはようございます」と言われて、単に「おはようございます」とだけ返したのでは、本来の"挨拶"としては十分ではないのかもしれません。それなら「あなたに近づきたい」という思いを込めて、挨拶してみましょう。

まずは、言われてから挨拶するのではなく、自分からアクションを起こすこと。できれば一歩前に出て、「おはようございます!」「お疲れさまです!」と、相手の心に近づくつもりで声をかけてみましょう。

ちなみに挨拶ができるシーンは、直接会ったときに限りません。たとえばメールやLINE。定型文だけの挨拶に最近の出来事を加えるだけでも、相手が受ける印象は変わります。たとえば「先日はありがとうございました。教えていただいた方法を、毎日実践しています」と伝えれば、相手は喜んでくれるでしょう。

「先日はお時間をいただき、ありがとうございました。少し咳をされていましたが、その後、体調はいかがでしょうか?」というように、相手のことを気遣う一文を加えるのもいい方法です。

なお「先日は」という一言を入れると、「あれからずっと忘れていなかったのか」と思ってもらうきっかけになり、良い印象を与えられます。

この「覚えている」という意思表示はとても大切です。

先日食事に連れて行ってくれた相手には、「あのお店、とてもおいしかったので、また連れていってください」という"挨拶"を入れてみてください。そうしたプラスアルファの一言によって、相手との距離が少しずつ近づいていきます。

とはいっても、相手にいきなり近づきすぎるのは禁物ですから、気をつけましょう。相手の気持ちを推し量りながら、適切に"挨拶の距離感"をはかっていくことも社会人には必須のスキルです。

 

「売上」「利益」「生産性」の数字意識をもつ人は信頼される

日本の若者を見ていると、「会社の利益のために働く」という意識が薄いことが少なくありません。それはおそらく、私たち日本人は小中学校などの教育課程の中で、「お金」に関する勉強を、ほとんどしてこなかったからだと考えています。

会社の業績を上げるために、あなたはどんな貢献ができるでしょうか? 営業部だったら売上でしょうし、総務部であれば業務の効率化であり、生産性の向上でしょう。

どの部署にも必ず数値目標があります。ですから「目標を達成してやるぞ!」という高い意識を持ち、達成につながる行動をしている人が評価されます。

もう一つ、数字に対する意識で評価されるのは、「給料以上に働いている」人材です。社内でそんなうわさが立つようになれば、周囲から一目置かれる存在になっていきます。

では給料以上の仕事とは、一体どのようなものでしょうか?

営業職は、会社が定めた目標よりも高い成績を出せば、「給料以上に働いている」ことになります。バックオフィスの業務を担っている人は、「決められた仕事」以上のことをしましょう。

必ずどの部署にも「これをやったら帰っていいよ」という、ルーティンワークや日々の定例業務があると思います。そこにプラスアルファの付加価値をつけると、「給料以上の仕事」になり得るわけです。

何も難しいことをしようと思う必要はありません。散らかっているコピー用紙を整理する、電話をきれいに拭く、困っている人の手伝いをする...なんでもいいのです。

ちょっとした周りへの気遣いを、コツコツ積み上げていけばOK。ささやかでも相手のためになる、ちょっとしたこと。給料以上の"プラスワン"の感覚でいいのです。

けれども、一つだけ大事なことがあります。それは、毎日徹底的に続けるということ。1カ月、3カ月、半年、1年...地道に継続することで、必ず会社の中であなたの良いうわさが立つようになります。

その結果、「給与以上の仕事をしている人」というイメージを持たれる人材になっていくわけです。

もしも給料以上の仕事をすることを「損だ」と考えてしまったら、開かれる道も開かれません。あまりいい未来は待っていないでしょう。今できることを続ければ、必ず30代や40代以降の人生で大きなリターンになることを忘れないでほしいのです。

 

著者紹介

原邦雄(はら・くにお)

株式会社スパイラルアップ代表取締役/ほめ育財団代表理事

兵庫県芦屋市出身。大学卒業後、メーカーを経て、船井総合研究所に転職。様々な業種の人材育成に関わる。その中で、従業員のエンゲージメントの重要性を実感し、独自の教育メソッド「ほめ育マネジメント」を開発。これまでに600社以上の企業や教育機関に研修を行なっている。また、アメリカ、インド、中国、オーストラリアなど世界20か国に進出。著書に「今すぐできる! 今すぐ変わる!『ほめ育』マネジメント」(PHP研究所)など。

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