あなたは毎日、どんな食事をしていますか? 何を食べるかで、体の老化が早まったり、疲労を感じやすくなってしまう可能性があります。本稿では、疲れにくい体づくりに役立つ情報を『休養ベスト100』よりご紹介します。
※本稿は、加藤浩晃著『休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル』(日経BP)を一部抜粋・編集したものです。
体を老けさせるものを食べない
疲れにくい体、あるいは、病気になりにくい体をつくるには、食べ物に関する知識が重要になってきます。極力避けたい食品と積極的にとりたい食品を見極めることで、長期的に見ると大きな差につながります。
●食べ物の効用に関する知識を持つことは大切
体を老けさせるものとしてよく取り上げられるのは、以下の食品です。
・ソーセージやハムなどの加工肉
・加工食品
・白砂糖を使った食品
・菓子類
・清涼飲料水
・ファストフード
・白米
・小麦
こうした食品を多くとると、体内で糖化という現象が起きやすくなり、AGE(終末糖化産物)と呼ばれる老化を促進する物質が生成されます。AGEは分解されにくいために体内に蓄積して老化を進める原因となってしまうのです。
一方で、抗酸化や抗糖化の作用があり、積極的に食べることがすすめられるのは、以下の食品です。
・海藻類
・キノコ類
・納豆などの発酵食品
・ブロッコリーなどのアブラナ科野菜
もっとも、糖化にはさまざまな原因があり、食生活のみならず生活習慣全般の見直しが大切です。それでも、こうした知識を持つことで、少しでも体を老けさせないようにする助けになります。
完璧を目指すのではなく「2割」は好きなものを
極力避けたい食品と積極的にとりたい食品の知識を持つことで、日々の食事における小さな選択が変わります。それが積もり積もって、長期的には健康的な体をつくるのにつながると思っています。
食事制限で問題なのは、極端に厳しくすると長続きしないということです。ダイエットのリバウンドのように、反動が起きる恐れもあります。例えば、甘いものを厳しく制限していると、ある時点で我慢ができなくなってお菓子のドカ食いをする、といったことになりかねません。
完璧な食事は難しいと私も実感しています。白米や小麦を完全に排除するのは現実的ではありません。せめて、玄米や全粒粉のパンを選ぶ頻度を増やす、加工食品よりも生鮮食品を優先する、ビールをガブ飲みする代わりに本物の果汁を入れたアルコール度数の低いレモンサワーにする、といった緩やかな置き換えを心がけています。
完璧を目指すのではなく、8割は理想的な食事を心がけ、残りの2割は楽しみのためにちょっと不健康でも許容するのが私の考え方です。2割だけでも好きなものを食べることで、満足度はかなり高くなると感じています。それにより、ストレスなく健康的な食生活を続けられると思います。
亜鉛をとる
私たちが生きていくうえで欠かせない「必須ミネラル」は16種類あり、中でも亜鉛は現代人が不足しがちなミネラルといってよいでしょう。
亜鉛は、体内には約2g存在する微量ミネラルで、細胞分裂が活発な組織に豊富に存在しています。その役割は、酵素の活性化、たんぱく質の合成、ホルモンの分泌、免疫機構の調整など、日常生活の質を高める200種類以上の酵素反応に関わっています。
しかし、現代人は食生活の変化や生活習慣の乱れにより、亜鉛が不足している人が多いのが実情です。特に食品添加物によって亜鉛の吸収が阻害されることもあり、加工食品を中心とした食生活を送っている人は亜鉛が不足しがちです。
亜鉛が不足すると、日常生活にさまざまな不調を引き起こします。味覚が鈍くなったり、風邪を引きやすくなったり、皮膚や髪の毛の状態が悪くなったりするのは、亜鉛不足のサインである可能性があります。カキやナッツ、大豆製品に多く含まれる
亜鉛を多く含む食品として代表的なものは以下です。
・カキ
・レバー
・アーモンドなどのナッツ類
・納豆や豆腐などの大豆製品
・卵
特にカキは「亜鉛の王様」とも呼ばれており、冬の季節には私も積極的に食べています。
忙しい日々の中で食事だけでは十分な量を確保できないのであれば、亜鉛のサプリメントで補うとよいでしょう。私も亜鉛のサプリを定期的に飲んでいます。
サプリは目安量を守ることが大切です。食品で亜鉛をとりすぎる心配はまずありませんが、サプリや亜鉛強化食品を大量にとると過剰摂取になって、吐き気、下痢、頭痛、免疫機能低下などの症状を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
【加藤浩晃(かとう・ひろあき)】
デジタルハリウッド大学大学院特任教授。東京科学大学医学部臨床教授。アイリス株式会社共同創業者・取締役副社長CSO。
2007年、浜松医科大学卒業。眼科専門医として1500件以上の手術を執刀し、白内障手術器具や眼科遠隔医療サービスを開発。2016年、厚生労働省医政局研究開発振興課に勤務。2017年、AI医療機器開発企業であるアイリス株式会社を共同創業し、取締役副社長兼CSO(最高戦略責任者)に就任。2021年、一橋ビジネススクールにてMBA取得。医療現場、医療制度、ビジネスという3つの領域を経験し、横断的に理解することで医療領域全般の新規事業開発支援を行う。大企業やベンチャーの顧問・アドバイザー・取締役も務める。著書に『医療4.0』『医療4.0実践編』(いずれも日経BP)、編著に『医療×起業』『デジタルヘルストレンド』(いずれもメディカ出版)など多数。