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まだまだ“紙の需要”はあり 2026年の手帳トレンドは「書いて内省する」

本橋へいすけ(pure life diary開発者/ライフコーチ)

2025年12月23日 公開

まだまだ“紙の需要”はあり 2026年の手帳トレンドは「書いて内省する」

手帳売り場が賑わう季節になりました。2026年の手帳はもう選びましたか?あるいは、すでに決めたはずなのに、もう一冊気になっている人もいるかもしれません。

スマホでスケジュール管理ができる時代。それでも紙の手帳の人気は続いています。今回は、2026年の手帳トレンドと進化する手帳の使い方をお伝えします。

 

「記録」から「内省」へ。静かなブーム「ジャーナリング」

2025年の大きなトレンドは「ライフログ」。スケジュール管理ではなく、健康記録や気持ちの変化、日々の出来事を記録する方法として注目を集めました。

しかし今、手帳の役割はさらに進化しています。

「暮らしの記録を取る一歩先へ進みたい」「自分がどう感じるか?どうしたいのか?」と、記録したことを内省して自分に向き合う、「ジャーナリング」がトレンドの兆しを見せています。

ジャーナリングとは、自分の気持ちや考えを紙に書き出すことで、思考や感情を整理する習慣。特定のルールはなく自由に書いていくのが特徴です。

ライフログや日記が「出来事の記録」なら、ジャーナリングは「心の記録」。自分の内面に重きを置く点が大きな違いです。

例えば、今年9月に発売されたKADOKAWA『ログライフ』の表紙には「ライフログ」と並んで「ジャーナリング」の文字が躍っています。『日経WOMAN 11月号』の手帳特集でも、「頭も心も整う」「心のモヤモヤ整理習慣」「自分を知って未来へアプローチ」など、自分との対話を促す言葉が目立ちます。

Googleトレンドを見ても、ジャーナリングの検索数は綺麗な右肩上がりを描いています。月間検索数で比較すると、ライフログが約3,600回に対し、ジャーナリングは3万回を超え高い関心を集めつつあることがわかります。※2025年12月時点

「日付なし手帳」も新たなトレンドとして注目されていますが、楽しみ方として多くの人が実践しているのが「自分の気持ちを書く」ことです。これも、いわゆるジャーナリングなのです。

 

なぜ今、「ジャーナリング」なのか

この変化の背景には、「記録」だけでは満たされない欲求と時代背景があります。デジタルで情報が溢れ、日々のタスクに追われ、頭が常に忙しい現代。

さらにAIが人間の作業を次々と肩代わりしていくこれからの時代、「人間は何のために生きるのか」「自分はどんな意味を持って生きるのか」という問いに、人々は自然と向き合うことが求められる時代になりました。

「他人の答えではなく、自分の中にある本音や感情を見つめたい」。そんな欲求の高まりから、「自分の心と向き合う時間をつくる習慣」として"ジャーナリング"が注目されています。

 

ジャーナリングの科学的効果

ジャーナリングの効果は科学的にも実証されています。

スタンフォード大学やプリンストン大学の研究では、感情を書き出すことでストレスホルモンが減少し、免疫機能が向上することが明らかになっています。

また、ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマン博士の研究では、毎日3つの良かったことを書く習慣を3週間続けた人は、幸福度が有意に上昇し、その効果は半年後も持続したという結果が出ています。

先行きが不透明で変化の早い時代だからこそ、自分の気持ちに向き合う時間が必要とされているのです。

 

ジャーナリングを継続する秘訣

とはいえ、「やってみたいけど継続できるだろうか」という不安を抱く人も多いでしょう。

習慣化の研究が一貫して示すのは、「小さなステップから始める」ことの重要性です。人間は変化を嫌う生き物。最初はなるべく簡単にできる形から入るのがポイントです。

例えば、1日3ページもノートに書き続ける必要はなく、1行でも、3分でもよいので、小さく始めることが大切です。

また、悩んでいる時ほどネガティブな思考に偏りがちです。「自分はダメだ」という思いに囚われないよう、まずは良かったことに目を向ける習慣をつけるといいでしょう。

ポジティブな面やできたことに意識を向けることで、自然と自分にやさしくなれます。後から振り返った時、「意外とできていたことがあった」と気づくこともできます。

 

2026年の内省習慣、ジャーナリングから始めよう

「ジャーナリング」は一過性のブームではありません。AI時代が本格化し、デジタル化がさらに進む中で、「自分とは何か」「どう生きたいか」という問いは、ますます重要になっていくでしょう。

デジタル全盛の時代に、あえて紙とペンで自分と向き合う。予定を書くだけではなく、心を書く手帳。それは自分らしい生き方を探す最良のパートナーです。

2026年、ジャーナリングという習慣とともに、自分との対話を始めてみませんか。

著者紹介

本橋へいすけ(もとはし・へいすけ)

pure life diary考案者、ライフコーチ

Mindset Coaching Academyを経てプロコーチとなる。 コーチングとウェルビーイングを融合したガイド付きジャーナリング手帳『pure life diary』を考案し、feppiness株式会社を設立。 現在はプロダクト開発や対人支援、コミュニティ運営を行う。ペンシルベニア大学のポジティブ心理学プログラムを受講、桜美林大学大学院ポジティブ心理学の修士課程に在学中。著書『理想(仮)』『人生の純度が上がる手帳術』など。趣味はフリーダイビング。

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