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仕事とプライベートは「分けない」方がいい? 世界の一流が実践する3つの習慣

越川慎司(株式会社クロスリバー代表取締役社長)

2026年10月29日 公開

家では仕事のことを忘れ、プライベートを楽しむ。オンとオフにメリハリをつける人も多いと思いますが、マイクロソフトで業務執行役員を務めた経験のある越川慎司さんは、「世界の一流は家庭でも仕事の話をし、オンとオフを明確にしていない」といいます。

なぜ一流ほど仕事とプライベートを分けないのか。その理由と、一流が家で実践している「パフォーマンスを高めるための習慣」について紹介します。

※本稿は、越川慎司著『世界の一流は「平日」の夜に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「ワーク・ライフ・ハーモニー」を目指す

「ワーク・ライフ・ハーモニー」という言葉は、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスが好んで使っていた表現として知られています。彼は、「仕事で幸せであれば家庭でも良きパパや夫になれ、家庭で幸せを感じていればよりよい従業員になれる」と説いています。

仕事と生活は、一方が上がればもう一方が下がるシーソーのような関係ではありません。両者が良好に機能するときは、相互に影響し合いながら同時に質が高まっていきます。

日本のビジネス書では「仕事とプライベートのオン・オフを明確に分けること」が推奨されがちですが、世界の一流たちはその真逆を主張します。彼らは、オンとオフを分けない人ほど長期的に高いパフォーマンスを発揮できると考えているのです。

日中は仕事に集中し、夜は仕事と直接結びつかない時間を過ごしながらも、その夜の時間が結果として仕事に良い影響を与えていく設計こそが、ワーク・ライフ・ハーモニーの本質です。

具体的に、夜の時間をどう活用すれば調和が生まれるのか、3つの新習慣を解説します。

 

1日7分の「会話」(家族と仕事のアイデアについて話す)

日本人は仕事を家庭に持ち込まない傾向にありますが、世界の一流の家庭では仕事の話が日常的に交わされています。結果として、職場の会議室では決して生まれないアイデアが、夜の食卓で自然に形作られていきます。その実践方法は、次のようになります。

①夕食の席で仕事の話を切り出す

②考えているアイデアを伝える

③感想を聞く

所要時間はわずか7分で十分であり、夕食の一部として自然に取り入れることが継続するコツです。

職場の会議室は、発言に対して常に誰かからの評価が伴う場所です。周囲の目を気にして本音を話しにくい雰囲気が漂うため、多くのアイデアが形になる前に消えてしまいます。

対照的に、家庭の食卓には他者からの評価という概念が存在しません。こうした場では、本人が自分の本音を素直に言葉にしやすくなります。家族というプロではない第三者へ気軽にアイデアを話すことで、専門家が見落としていた論点を鮮やかに捉えた指摘を得られる場合もあります。

この習慣を取り入れる際には、心がけるべき点があります。それは、相手に「仕事の悩みを聞いてもらう」のではなく、「アイデアを一緒に考えてもらう」というスタンスで臨むことです。前者の姿勢は相手を疲れさせてしまいますが、後者の姿勢であれば相手も共に思考を楽しむことができます。

 

1日7分の「趣味」(趣味を楽しみながら、仕事のヒントを探す)

世界の一流は、趣味と仕事の境界線を意識的にあいまいにしています。彼らは趣味の中で仕事に役立つヒントを見つけ、逆に仕事の中で趣味の楽しさを思い出すといった思考の往来を繰り返すことで、双方に相乗効果を生み出します。その実践方法は、次のようになります。

①新しい趣味を1つ考える

②仕事に活かせるか考える

③思いきり楽しむ

多くの人は仕事と趣味を完全に切り離したいと考えがちですが、ここでの狙いは、趣味に没頭している最中にも、重要な気づきを得られる状態に自分を置いておくことです。「これは仕事に活かせるかもしれない」という情報の断片に、敏感に反応できる感度を養っておく必要があります。

例えば料理が趣味であれば、効率的な調理の段取りから業務の進め方のヒントを得られる可能性があります。スポーツ観戦が好きな人なら、試合の攻防からビジネスに通用する戦略や戦術のアイデアが浮かぶかもしれません。

ただし、仕事の成果を得るために趣味に取り組むという順序だけは避けてください。目的が仕事になってしまうと、趣味本来の楽しさが失われてしまうからです。あくまで趣味の新しい楽しみ方として意識する程度の、ゆるやかなスタンスで取り組むことが大切です。

このような意識を持ち続けることで、月曜日の朝に「週末の趣味から価値あるヒントを得た」と実感できる瞬間が、自然と訪れるようになります。

 

1日20分の「歩く」(歩きながら仕事の構想を整理する)

アイデアを考える際、多くの人は机に向かいます。そして悩みながら思考を巡らせるものの、何も思いつかない状況に陥りがちです。対照的に、一流と呼ばれる人々の多くは、歩きながら思考を深める習慣を持っています。

例えば、アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、散歩を通じて重要な対話やアイデアの創出を行っていました。また、生物学者のチャールズ・ダーウィンは毎日決まった時間に「サンドウォーク」と呼ばれる自宅敷地内の散歩道を歩きながら、考えを整理していたことが知られています。

その実践方法は、次のようになります。

①夕方の17時から18時の間に20分散歩する

②できれば自然のある場所を選ぶ

③スマホを見ない、音楽も聴かない

この取り組みだけは、7分ではなく、20分で行うことを推奨します。脳科学の研究では、軽い運動が創造性や問題解決能力を向上させることが証明されています。座って考えているときと歩きながら考えているときでは、脳内で活性化する領域が明確に異なります。

ただし、「何かを考えよう」と意気込んで歩くことは、かえって逆効果を招く可能性があります。人間の脳には特定の意図を持たずぼんやりしているときに活動を始める「デフォルトモードネットワーク(DMN)」という回路が存在します。この回路が働くと脳内の情報が整理されるため、結果として創造性が高まります。

何も考えていない瞬間にふとアイデアがひらめく現象は、まさにこの機能による恩恵です。まずは余計な思考を捨てて、ただ歩いてみてください。

著者紹介

越川慎司(こしかわ・しんじ)

株式会社クロスリバー代表取締役社長

2005年に米マイクロソフトへ入社し、後に日本マイクロソフトの業務執行役員としてPowerPoint、Excel、Word、Microsoft Teamsなど、主要プロダクトの事業責任者を歴任。

2017年、株式会社クロスリバーを設立し、全メンバーが週休3日制と複業(専業禁止)を実践する独自の働き方で、これまでに800社以上の業務改善・働き方改革に携わる。教育者としても活動し、京都大学大学院をはじめとする教育機関で教壇に立つ一方、年間400件を超えるオンライン講座を展開。受講者満足度は平均98%を誇り、学んだ内容を実際の行動に移す受講者が95%を超えるなど、確かな成果を上げている。

著書は直近8年間で32冊に上り、『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』(日経BP)や『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は海外でも翻訳・出版されベストセラーとなる。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」ほか、多数のメディア出演実績を持つ。数字に裏打ちされた具体的なノウハウと豊富な実績を基盤に、組織と個人のパフォーマンス最大化を支援し続けている。

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