迷ったとき、悩んだとき、勇気をくれる「論語の言葉」
2013年09月19日 公開 2023年01月18日 更新
<行動と人柄>
子曰わく、
「其の以す所を視、
其の由る所を観、
其の安んずる所を察すれば、
人焉んぞ廋さんや、
人焉んぞ廋さんや。」
◇原文◇
子曰、
視其所以、
観其所由、
察其所安、
人焉廋哉、
人焉廋哉。
(為政第二・10)
その行いに滲み出る人柄は、
隠そうと思っても
隠すことはできません。
他人が自分のことをどんなふうに見ているか、考えたことはありますか?
他人のことは見ていても、自分がどのように見られているかは、あまり意識していないように思いますが、いかがですか?
「その人の行動を見て、どうしてそのようにするのかという理由も観察する。さらに、その人が満足しているのかもよく観察する。そうするとその人の人柄や内面が理解できる。隠そうとしても隠せないものだ」
改めて読むと、怖い感じがしますね。
こんなふうにじっと見られたら、何もできなくなりそうです。
何気ない立ち居振る舞いに繊細な心遣いを感じたり、意外な豪快さを見つけたり、人にはいろいろな面があります。
少し注意を払って見てみると、その人の本質が見えてくるかもしれませんね。
いい所も、そうでない所も、ある程度知ってつきあえは、人間関係もスムーズになりそうです。先入観を持たずに、素直に人間ウオッチングしてみてはどうでしょう?
でも自分が人から見られていることも、どうぞ忘れずに……。
自分でも気づいていない、本当の姿が、表れているかもしれません。
【著者紹介】安岡定子(やすおか・さだこ)
1960年、東京生まれ。二松学舎大学文学部中国文学科卒業。陽明学者・思想家の安岡正篤の次男・正春の長女。
現在、「銀座・寺子屋こども論語塾」「湯島聖堂こども論語塾」の都内の講座のほか、宮城県、茨城県、京都府、宮崎県など全国各地での23におよぷ定例講座で、子どもやその保護者たちに『論語』を講義している。