3×19=最強
長嶋さんと野村さん。どっちがすごいか。
私の答えは、「両者が手を組んだら、それがいちばんすごい」だ。
長嶋さんの背番号3と野村さんの背番号19は、数学的にはともに素数である。1とその数以外に割りきれる数字をもたない、個性的な、あるいは孤高の数字。
だれの介入も許さない。だれの影響も受けない。オリジナリティに富むお二人には、その姿勢を表すのにピッタリの数字だ。
素数の特性として、ほかの数字で割ることはできないが、掛けることはできる。
ならば、3と19を掛けてしまえというのが、本書のめざすところだ。
式にすれば、3×19=最強。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言われる。ある成果を求めようとするなら、これは真理だろう。欲張っていくつもの獲物をねらえば、一つも手に入らないものだ。潔く自分の目標を一つに決めて頑張ろうとすることが、力を発揮するコツだという教訓にも聞こえる。
しかし、一兎を得るための方法論が一つである必要はない。試行錯誤のなかでいろいろなものを試せばよいのだ。そのための思考法や行動におけるスタイルは、二兎と言わず三兎も四兎も追いかけてみる。
野性の人も、知性の人も、オプションが増えるに越したことはない。ならば、長嶋さんと野村さんの二兎を追いかける。そして、臨機応変に長嶋的と野村的を使い分ければよいのだ。
私たちの使命は、偉大な先輩・長嶋さんと野村さんを超えること。
「野性で戦い、知性で守る」=「3×19」
それは、いまを生きる私たちの柔軟なタクティクス(戦術)となるだろう。