安倍総理、専業主婦を馬鹿にしていませんか?
2014年11月25日 公開 2022年09月29日 更新
女性管理職の数だけ合わせるのは女性に対する逆差別
総理は「上場企業には少なくとも1人の女性役員を」と発言されておいででした。
「国際社会から見て、日本では女性管理職や役員が少ないから」と、数合わせのために役職をもらって、はたして女性は嬉しいとお思いですか?
「女性枠」をつくっておかないと格好がつかないからと、本来はよりふさわしい男性がいても差し置いて、女性をその椅子に座らせるのですか?
それは、国や企業のためにならないし、当の女性にもたいへん失礼なことではないでしょうか。
仕事に男も女もないというのなら、こういうときにこそ差別しないでほしい。ほんとうにその能力、必要性、価値があると認めていただいているなら、もちろん女性もがんばってその任を果たそうとするでしょう。その結果として管理職に占める女性の割合が増えるならば、すばらしいと思います。
もちろん日本の女性の多くは、それに値する以上の努力をして、実績と能力を身につけているとは思います。でも、それを評価したうえでのことなら、なぜわざわざ女性枠をつくって数合わせをしないといけないのでしょうか。
そもそも、出産、子育て、家庭の運営といった大切な仕事を抱える女性に、何がなんでも「外で働け」「管理職になるくらいがんばれ」「あらゆる職種で男性と向こうを張れ」というのは、女性にさらなる負担をかけ、肉体的にも精神的にも追いつめるものではないでしょうか。
妊娠・出産・育児があるから女性の雇用がM字曲線のグラフを描くと総理は問題視されていましたが、妊娠・出産するときでさえ休むことも許されないのですか? その大切なときも働いていないといけないのですか?
もちろん、そのような意図ではないのでしょうが、あまりにも無理のある要求に聞こえてしまいます。
出産と子育てこそ、経済社会に参加する以上に大切な、女性の立派な「仕事」ではないでしょうか。家事もそうです。それは「労働」なのです。
けれども「女性が生涯、社会で働きつづけること」を理想とする総理のプランは、子育てや家事が立派な仕事であるという視点がまったく抜け落ちています。
専業主婦のハードな一日をご存じなのですか?
ところがです。この国は少子化だから、そのうえで子供も産んでほしいと言う。
私がいまさら申し上げるまでもございませんが、ご承知のとおり、子供を産むというのは命がけの作業であり、子育ても数十年かかるたいへんな仕事のはずです。そのうえに女性に社会に出て働き、管理職にまでなれと要請するのは、もう女性への搾取や虐待に近いのではないでしょうか。
私がそんなことをブログに書いたとき、友人の主婦数人から「よく言ってくれた」とすぐに反応がありました。専業主婦は、ちっとも評価されないけれど、ほんとうにたいへんだし、家庭と子供に対して責任を全うしようと思ったら、とても一日フルタイムで働くなんてできないと彼女たちは口をそろえて言います。「あまりにも現実的ではない。生活のたいへんさ、子育てのたいへんさを総理は理解されていないのではないか」と。
専業主婦のみなさんは、家族のために朝5時くらいには起きています。朝食をつくり、夫や子供を会社や学校に送り出せば7時を過ぎます。そのあと多くの方は洗濯に取りかかりますが、家族の洗濯物は、とても量が多いのです。まして赤ちゃんがいるような家庭であれば、3回、4回と洗濯機をまわし、それらを乾かしてたたみ、タンスにしまい、そのあと掃除機をかければ午前中は終わってしまいます。いまは全自動洗濯機だからラクだろうと思ったら、大間違いです。
家族にきちんとした食事を用意しようとすれば、午後から買い物に行き、数時間かけて食事をつくる。子供の学校の行事があれば参加する。親の介護が加わる人も多いでしょう。そうして自分の時間など楽しむ間もないまま、やがて帰ってくる子供や夫の世話に明け暮れて一日を終え、家庭を守る。それが主婦の仕事なのです。
子供が病気になることもあるでしょう。学校で問題を起こして先生と相談しなくてはいけないこともあるかもしれない。習いごとの送り迎え、宿題の手伝いに時間を取られることもあるでしょう。子供が小さいうちは、学校や幼稚園で使ういろいろな用具や小物をつくってそろえてあげることも、とても大切な仕事。ママ友たちとのおつきあいは、もはや言うまでもありません。
そんな生活は、日本の経済にとってムダだとおっしゃるのですか?
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