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生き方

親の接し方しだいで、子どもはこんなに変わる

福地信也(東山中学・高等学校副校長)

2011年07月16日 公開 2023年01月05日 更新

「やってみたらできた」という体験が、人間には絶対に必要です。小さな成功体験の積み重ねが自信となっていくのですから、親はいろんな経験を子どもにさせて、できたことを心から褒めることが極めて重要なのです。

やってみて、たとえ失敗したとしても、それが失敗だと思わなければ失敗ではありません。「失敗は成功のもと」という諺もあるように、最後まで決して諦めない心構えを持つ子どもに育てることが大切です。

※本稿は、福地信也著『男の子が打たれ強くなる子育て』より一部抜粋・編集したものです。

 

挫折しない方法

もちろん、いつも目標が達成されるとは限りません。うまくいかなかったり、トラブルに巻き込まれたり、挫折感にさいなまれることもあるでしょう。二度と立ち上がれないと感じるときもあるかもしれません。

しかし、失敗が失敗に終わるのは、それを失敗だと受け止めて諦めたときだけです。失敗や過ちを教訓や試練と捉え、そこから学ぶだけの心のゆとりがあれば、それをきっかけにさらに成長することができます。

では、そういう心のゆとりはどうすれば育まれるのでしょう。それは子どもが小さい頃からの親や教師の褒め方や叱り方にありますが、大切なのは、褒めるにしても叱るにしても、それは具体的でなければならないということです。

私の子どもが小さいとき、次のようなことがありました。私が来客と重要な話をしているとき、子どもが部屋に入ってきて思うように話が続けられないことがありました。そのとき、その来客が「今大事な話をしているところだから3分だけ待ってくれるか?」と言ったのです。

すると息子は何を思ったのか隣の部屋へいき、砂時計を持ってきて3分間計りながらじっと待っていたのです。私は驚くとともに我が子ながら感心してしまいました。

こういうとき、言いつけに素直に従ったことを褒め、同時に親としてとても誇らしかったことを子どもに伝えれば、子どもは健全な自尊心を持つことができます。

健全な自尊心があってこそ、挫折感にさいなまれつつも、今回のつまずきは自分の無知や未熱さが原因であって、自分の人間性には関係がないと考えることができるだけの心のゆとりが生まれ、トラブルを成長の糧とし、将来に向かって希望を持って前進することができるのです。

子どもを叱るときは、子どものどこが悪かったのか、なぜ叱られるのかを子どもに理解させなければなりません。

私は、自分の子どもを叱るときは私の目の前で正座をさせました。もちろん私自身も正座して子どもと相対し、どこがいけなかったのか、何に対して私が腹を立てているのかを諄諄(じゅんじゅん)と言って聞かせるのです。

時間はかかりません。子どもはすぐに涙を流しはじめます。子どもが理解したと思ったらもう言葉は必要ありません。ここでしつこく叱ったら逆効果です。あとは子どもが気の済むまでしっかりと抱きしめてやります。

この子どもが気の済むまで抱きしめてやるということが、子どもが小さいときは特に大切なことです。叱られたのは、自分が親から嫌われたからではなく、約束を守らなかったからだとか、嘘をついたからだとかを理解させることが重要なのです。

というのは、なぜ自分が叱られているのかが理解できないと、子どもは恐怖を感じるからです。親との関係の中で常に不安を感じながら成長した子どもに、健全な自尊心が育つはずがありません。

(次のページ:叱り方のポイントは1つだけ)

著者紹介

福地信也(ふくちしんや)

東山中学・高等学校副校長

昭和29年(1954年)、佐賀県に生まれる。学習院大学文学部卒業後、15年間大阪のカトリック系女子校に勤務。平成5年より東山中学・高等学校。平成14年、副校長に就任。「セルフ・リーダーシップ」という教育目標を掲げ、教育ツールとして制作した「10年カレンダー」や「夢をかなえる生徒手帳」は新開やテレビ等のマスコミで紹介され話題になった。

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