海外勤務のない私が超巨大グローバル企業の幹部になれた理由
2017年05月15日 公開 2023年01月16日 更新
20代や30代で自分の市場価値を考えるのは、うぬぼれである
最近、若い人から、このような質問をされることが増えてきた。
「20代や30代の頃、自分の『市場価値』をどれくらい意識していましたか?」
答えは、「まったく意識していなかった」だ。
むしろ、その年代でなぜ市場価値を意識する必要があるのかと、逆に問いたい。
日本の学校を出て、日本の会社に就職したごく普通のサラリーマンが、20代や30代で成し遂げられることなどごくわずかだ。
それでも、昨今の就活や教育事情の中で、「自分の市場価値を上げよう」という言説が飛び交っているから、このような質問が出てくるのだろう。
私自身を振り返っても、その頃の自分など鼻たれ小僧のようなものだ。
自分に市場価値があるかどうかなど、考えるのもおこがましい。そんなレベルである。
みずからリスクをとり、若くして起業した人なら話は別だ。
自分が出した成果は、すべて自分の力によるものだから、その人が何歳だろうと人材市場では高く評価されるだろう。
しかし、会社に雇われ、会社のお金やものを使わせてもらっているサラリーマンが、仕事の成果をすべて自分の力によるものだと思い込むのはうぬぼれである。
私が自分の市場価値を初めて意識したのは、ネスレ日本の役員になってからだ。
それも自発的にではなく、ヘッドハントの声がかかるようになってようやく「自分は外の世界でも評価されているらしいな」と気づいたくらいだ。
こうして評価してもらえるのは、私が若い頃から市場価値を意識していたからではない。
自分の会社の仕事にがむしゃらに取り組み、より高い成果を出すことに集中してきたからだ。
それが結果的に、市場価値につながったというだけだ。
つまり市場価値とは、自分で高めるものではなく、結果的についてくるものと理解すべきである。
自分の市場価値がどれくらいか。
そんな自己分析に時間を使うくらいなら、「昨日の自分より高い成果を出すには、どうすればいいか」を必死になって考えるべきだ。
自分の評価は、自分がするものではない。
他人がするものである。
くれぐれも、そのことを勘違いしてはいけない。