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心の疲れの回復には「3日間」の休息を

下園壮太(メンタルトレーナー)

2018年02月21日 公開 2024年12月16日 更新

心のストレスの原因は「妄想」!?

怒りや不満、不安に自己嫌悪──。私たちはつい負の感情に振り回され、心を疲れさせてしまう。常に鬱屈した思いを抱いているビジネスマンは少なくないだろう。一体、弱った心はどうやって回復させればいいのか。長年、自衛隊でメンタルヘルス教官を務め、東日本大震災でも被災者の心のケアに携わった下園壮太氏にうかがった。

 

あなたの妄想が「感情疲労」を蓄積する

「上司との折り合いが悪い」「仕事で失敗が続いている」「プライベートでも夫婦喧嘩が絶えない」──。こうした理由から精神的にすっかり疲れ切っている方は多いでしょう。でも、もしかしたら皆さんは自分でも気づかずに、自分の心を必要以上に疲れさせてしまっているかもしれません。

 たとえば、自分が担当したいと望んでいた重要なプロジェクトに、上司が同僚のSさんを任命したとします。単に事実だけを受けとめれば、「そうか。残念だけど、また次の機会に頑張ろう」と思うはず。がっかりはしますが、心は疲れません。

 ところが実際には、重要な案件から外されたというショックが大きいほど、「何で私ではなくてSなんだ」「上司は私を信用していないのではないか」「自分はもうダメかもしれない」といったさまざまな怒りや不満、不安といった感情が湧き起こってきます。

 さらに厄介なのは、負の感情には持続性があること。仕事が終わって家に帰ったあとも、グルグルと頭の中を巡って離れません。しかも、数日経って少し気持ちが収まっても、職場で上司やSさんを見るたびに、負の感情がまざまざとよみがえってきます。

 本当は、上司はSさんをえこひいきしたわけではなく、適材適所の観点で判断し、自分には別の機会を与えようとしていたのかもしれません。でも、そうした事実とは関係なく、「ああかもしれない」「こうではないか」とさまざまな妄想が心の中で膨れ上がり、精神的に参ってしまう。これを私は「感情疲労」と呼んでいます。

 私たちに感情がなければ、「今回のプロジェクトの担当者はSになった」という事実を認識するだけで済むはずが、そこに感情が加わることで、何倍、何十倍ものエネルギーを消耗することになるのです。

 私たちはこの感情疲労に対し、無意識のうちに「我慢する」「忘れる」ことで対処しようとします。ただ、忘れたと思っても、実は心のコップの底には、ストレスが徐々に沈殿していきます。すると、心のコップの容量が少なくなり、心がさらに疲れやすくなってしまうのです。

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現代人の感情はいまだ「原始人仕様」

著者紹介

下園壮太(しもぞの・そうた)

メンタルトレーナー

1959年、鹿児島県生まれ。防衛大学卒業後、陸上自衛隊入隊。陸上自衛隊初の心理幹部として多くのカウンセリングを手がける。大事故や自殺問題への支援も経験。2015年定年退官。現在はNPO法人メンタルレスキュー協会理事長を務める。主な著書に『心の疲れをとる技術』『人間関係の疲れをとる技術』(共に朝日新書)など。

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