従業員満足度が低い、後継者育成が進まない…人事が変われば経営は良くなる
2018年09月10日 公開 2018年09月10日 更新
<<事業のグローバル化に伴い、日本企業でグローバル人事を推進する動きは、業界や規模を問わず高まる一方です。人事戦略の見直しを迫られている人事担当者も少なくありません。では、どのように人材戦略を策定していけばいいのでしょうか。
今回インタビューさせていただくのは、15年にわたりSAPジャパンで人事・人材戦略コンサルティングをされてきた南和気さん。
著書『人事こそ最強の経営戦略』(かんき出版)で提唱されている「日本型・グローバル人事」とはどのようなものなのか? グローバル・リーダーの育成が急務とされる今、グローバル人事が果たすべき役割について伺いました。(記事提供:本の要約サイト「flier」)>
今求められる「日本型・グローバル人事」の強み
――「日本型・グローバル人事」の特徴とはズバリ何ですか。
日本型・グローバル人事の特徴であり強みは、会社と社員の結びつきの強さという点に尽きます。最近では終身雇用が人材の流動化を阻み、企業の競争力を削いでいるという批判もあります。ですが逆にいうと、終身雇用・長期雇用を前提とした賃金モデルであるために、社員の退職リスクが少ないというのは強みにもなります。
さらには、社員のロイヤリティが高く、助け合いの文化が根付いているのも、日本企業の強みです。たとえ会社が倒産の危機に陥っても、すぐに別の会社に移らない。それどころか、一蓮托生という思いで、会社の生き残る道を全力で探そうとする。これは海外企業ではまず見られない光景です。
こうした日本企業ならではの強みを活かしつつ、事業のグローバル化に伴う「人材の変化」に、人事のやり方を対応させていくのが、「日本型・グローバル人事」の真髄です。
――グローバル人事の推進が重要になってきた背景は何でしょうか。
1つは、ビジネスの変化に対応するためです。日本企業が、世界の企業と、世界の市場で互角に渡り合うには、現地の市場に詳しくなければいけません。 2つ目は、イノベーションを起こしやすくするため。昔は品質の高いプロダクトや技術力がイノベーションの源泉でした。しかし、現在はグーグルにしてもUberにしても、新しいビジネスモデルを考え出せる企業が、新たな市場を生み出し、プレゼンスを高めています。このイノベーションの種を得るには、世界中の人材を活用して、市場の変遷などを捉える必要があるのです。
これらの側面から、現地の人を採用する機会が増えていきます。すると、多様な国籍、バックグラウンドをもった人材が活躍できるように、人材配置や評価、処遇制度などを柔軟に変化させることがますます重要になってきます。それを実現するための人事評価、人材配置、組織づくりなど、人事担当者が意思決定をするための考え方を網羅的に解説したのが、『人事こそ最強の経営戦略』です。