人工肛門、コミュ障、偏差値30からの医学部受験 その先で見つけた幸せ
2018年12月26日 公開 2019年01月10日 更新
早く行きたければ、一人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け
その後、インターネットで得た情報で人工肛門を閉鎖することができ、「残りの人生は人のために生きよう」と、まるで暗黒騎士からパラディンになるような大転換を迎えることになりました。自分を助けてくれた医師に憧れて医師を目指し、2~3年かかりましたが無事に医学部に入学できました。
さて、憧れの外科医になるにあたって、「体力とコミュニケーション能力が重要」と言われましたが、どっちもまったく自信がありませんでした。虚弱体質やコミュニケーション障害を自らの工夫で克服し、医学やその他の能力も獲得していく中で、少しずつ人の役に立てる存在になっていったように思います。
そうしていく中で、自分ができることをすべて社会に還元しようと、社会課題と感じるものに正面から立ち向かうようなリーダーの立場になっていきました。
ただ、できることが増えて、社会的立場が高まっても、僕の自己肯定感というものは回復せず、いつまでも自分に自信を持てずに「まだ足りない」と自分の価値を高めることに必死になっていました。
正面から社会のために身を切り続けながらも自信のない僕に生きる力を与えてくれたのが、僕のことを信頼し好きになってくれた仲間たちでした。
仲間たちとチームでキャリアを築き上げていく中で、足りない能力が補われ、欠損していた自己肯定感も補われていったのです。
早く行きたければ、一人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け
アフリカに伝わることわざで、僕の一番好きな言葉です。
『19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと』は僕の初めての著作です。
この本を手に取ってくれた方には、「絶望的な困難から一秒でも早くその場所から脱出する効率的な方法」や「仲間と一緒に壮大な計画を遂行する方法」といったビジネス書に書かれているようなスキルの話だけでなく、スキルを得た先にある「幸せ」について、仲間が教えてくれたこともお伝えできたらと思っています。
「孤独は埋められるし、自己肯定感は自力で回復できる」
最近はそんなことを思えるようになれました。
今まさにうんこみたいな気持ちのど真ん中にいる人でも、きっと大丈夫。
僕の経験の中から、一つでも二つでも、ご自身にフィットする方法があったらうれしく思います。何かを感じ、行動した上で一歩でも幸せに近づくことができたなら、僕もとても幸せです。