Q・B・Bブランドで「ベビーチーズ」のシェア7割。 開発先導と高収益を両立する六甲バター株式会社
2019年02月27日 公開 2019年04月15日 更新
ヒット商品「チーズデザート」開発秘話
――御社の歴史を伺っていますと、つねに新しいことに挑戦し続け、成長してこられたイメージを抱きます。
三宅 新しいことへの挑戦という点については、創業家の2代目である弊社会長の塚本哲夫が、「開発先導型活力企業」と「高収益安定企業」という経営目標を述べています。
このうち「開発先導型活力企業」については、70年の長きにわたり、社員に刷り込まれてきていると思います。そして大切なことは、「新しさと確かな品質」を両立させることです。
私は開発部門の社員に「Q・B・Bが出すものは必ず、『さすがだな、美味しかったな』と、お客さまに思って頂ける商品にしてほしい」と言っています。
「もうひとつだった」と思われたらダメです。さらには、「Q・B・Bの新製品か。美味しいかもしれないから、試しに食べてみようか」となるような商品を作ってもらいたいのです。
――そのような考えに基づいて商品開発を進め、成功したものをご紹介頂けますか?
三宅 最近のヒット商品、「チーズデザート」という6P(円形のパッケージに扇形にカットしたチーズが入る商品)チーズの開発にまつわる話を紹介しましょう。
弊社は35年ほど前、家庭用のレアチーズケーキを販売し、ヒット商品になりました。
その後、ベイクドチーズケーキも発売し、チーズケーキに力を入れていたのですが、その後に出てきた「100円ケーキ」と、スーパー店頭で競合するようになりました。その結果、値下げを余儀なくされ、利益を取りにくくなり、残念ながら製造を中止したのです。
しばらくして、当時、チーズケーキのファンだった子供が大人になり、弊社に入社しました。「六甲バターでもう一度、おいしいチーズケーキを作りたい」と考えていた彼女は、さまざまなフレーバーや食材を入れ込んだデザート用のチーズを作り始めます。多数のレシピを考案して、徹底的に味にこだわって作った。
その結果、従来とはまったく異なる新しい食感と口どけのデザートができたのです。容器も女性に受けるようなデザインにリニューアルし、スーパーの店頭で華やかな印象を与えました。「マダガスカルバニラ」「ラムレーズン」というヒット商品が生まれ、現在、「チーズデザート」は弊社が一番シェアが高くなっています。
――開発者ご自身が「チーズケーキ好き」なだけに、自分が納得できるものというこだわりを突き詰めて成功したのですね。
三宅 開発を始めた当時、私は生産部長だったのですが、そうとうこだわったレシピを出してきた。そこで、「これは原材料が多すぎて、家で作る手作り用のレシピだ。工場でここまで細かくできるわけがない」と言ったら、原材料をすこしだけ少なくしてくれましたがね(笑)。
そして何とか試行錯誤して作ったら、ヒット商品になった。そうなると次からは文句を言えません。「新製品ではこんなレシピでやります」と言われたら、「しゃあないな」と(笑)。
――こだわりを許して作らせる、挑戦させるのが、御社のDNAだと実感できました。