Q・B・Bブランドで「ベビーチーズ」のシェア7割。 開発先導と高収益を両立する六甲バター株式会社
2019年02月27日 公開 2019年04月15日 更新
「悪いものは良くしよう」「良いものは、より良くしよう」とする力
――社員の皆さんの、背中を押してあげるようなメッセージ、素晴らしいです。具体的にはどのように取り組まれたのですか?
三宅 まずは毎月、部署ごとの実績をもとに「時間当り採算」を計算、分析することから始めました。戸惑い、間違いながら、なんとか正確に運用できるようになり、その後「マスタープラン」の作成に挑みます。
部署ごとに年間の「採算表」を組み立てることを、試行錯誤して身に付けていきました。そして導入から6年後の2016年からは、「売上(総生産)、経費、差引収益、時間当り採算」の4つの指標を精査したプラン作成が、完全にできるようになりました。
そして毎月、生産や営業など、すべての部門長が集まって経営会議を行います。そこでは会社全体はもちろん、すべての部署の4つの指標に関わる直近の数字が出てきます。そして、前月の個々の部署の経営について「経費が余分にかかって利益が出なかった」「時間管理がうまく行って業績が上向いた」などの分析がすぐになされ、新たな施策が打ち出されるようになっていきました。
――オンタイムで細かく状況を認識し、スピーディに手を打てるようになったのですね。
三宅 さらに生産と営業部門の間では「生販会議」を毎月やっています。そこでは営業と生産の各部署がマスタープラン達成のために現状分析を行い、提案し合うのです。生産のある部署の責任者は「利益率が高いA商品をさらに多く作りたい。これを積極的に売ってほしい」と営業に提案します。
一方、営業のある部署の責任者は「B商品のほうが店頭では売れ行きが格段にいい。利幅は少ないが、これを大量に作ってほしい」と提案する。そして、両者が侃々諤々、議論を行うのです。
――部署の責任者の皆さんは、経営責任をまっとうすべく、必死になっています。
三宅 その際、「生産量が少ないが一定のファンがついている商品を、店頭でヒット商品に変えて売上を増やすには何が必要か」、あるいは「利幅の薄い人気商品について、生産コストを下げて利益を増やすにはどうすればよいか」などの切り口で、知恵が出されるようになります。各部署が利益を増やし、「時間当り採算」を高め、会社全体でのトータルの利益を増やすためにどうするか、多角的な意見交換がなされます。
つまり、「利益率の高い商品をたくさん作って、利益を多く出しているお客様(スーパーなど)にたくさん売る」ため、「悪いものは良くしよう」「良いものは、より良くしよう」とする力が働き、どんどん実行に移されているのです。
私が社長になって4年。当初のお試し感覚に対して、「アメーバ経営は絶対止めない」と言い続けてきました。成果が出てきたので、「もうそろそろいいのではないか」と思う者がいるかもしれません。でも、止めずにもっと力を入れてやっていきますよ。