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脳内科医の主張「部屋を片づけらない原因は“脳”にある」

加藤俊徳(脳内科医/医学博士)

2019年10月28日 公開 2023年01月12日 更新

 

意思決定力を高めたいなら、判断基準の「テンプレ」を用意しよう

── 片づけでは、「捨てるかどうか決められない」という意志決定の問題にぶつかる人も多いと思います。かくいう私も大事な意思決定で悩むクセがあります。「そもそも判断軸はこれでいいのか?」などと考え、心が疲れてしまって……。悩みグセを直す方法はありますか。

悩みグセを解消するには、「思考系脳番地」を鍛えるのが一番です。この脳番地は、思考や判断を担う司令塔のような存在。思考系脳番地のパワーを発揮させるには、脳のワーキングメモリの容量を一定量確保することが大事です。

自分の判断だけで進められる仕事を、締切がいつかに関係なく、サクサク片づけていく。そうすればTo Doリストが減っていくため、メモリがパンクせず、意思決定疲れを防げますよ。

── ぜひそうしてみます! 一人で完結せず、他者が関係する意思決定のときこそ「間違っていると非難されるのでは」などと不安になりがちなのですが、どう対処すればいいでしょう?

そうしたネガティブな感情に振り回されているときは、思考から感情を切り離さないといけません。

おすすめは、事前に判断基準の「テンプレ」をつくっておくこと。たとえば1日のTo Doリストをこなす際、自分で都度判断しようとすると、感情が動いてしまう。

だから、「1分以内に返せそうな内容のメールはその場で返事する」などと、機械的にテンプレにあてはめて判断するのが効率的です。

もう1つおすすめの方法があります。

何かプロジェクトを進める際、ゴールまでの工程を俯瞰して、できるだけ小さなタスクに分解する。そして、自分の判断だけで進められるタスクはまとめてサクサク進める。

一方、他人が絡む案件など、ボトルネックになりそうなところは、少し時間をあけて対応するのです。たとえば、いつも説得に時間がかかる上司への相談やレスポンスの遅い同僚への対応は、最初から時間がかかると想定しておく。それだけで相手のことで悩む時間を圧縮することができます。

── 自分だけで進められるタスクと、他者が関係するタスクを区別しておくのですね。ぜひ試してみます! 意志決定力を磨くために普段から取り組むとよいことはありますか。

1つは、意思決定に必要な情報が集まっているかどうかを確認すること。足りない情報を見つけるには、「マインドマップ」を書くとよいでしょう。

意思決定したいテーマを真ん中に書いて、そこから連想したワードを書いていく。いったん書き出したら散歩に出かけてみましょう。場所を変えると、人の思考回路も変わります。その後マインドマップを見直すと、足りていない情報に気づきやすくなるのです。

あとは、意思決定がうまいと思う上司や先輩っていますよね。その人たちが決断を下す場面を観察しておくのも効果的です。即決しているように見えて、必ず事前に確認している点があるな、などと気づいたことを真似するとよいでしょう。

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人生100年時代は、「脳とのつきあい方」を根本から変える必要がある

著者紹介

フライヤー(flier)

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