転職のリスクを敬遠し「なぜか起業してしまった人」の末路
2019年12月11日 公開 2022年02月15日 更新
会社員の99% が気づかない転職のリスク
全体の傾向に目を向けてみると、社会人生活を開始してから現在までに、「転職をしたことがある」と回答した人は52.5%。社会人の半数以上が転職を経験しています。
年代別で見てみると、25〜29歳では「転職をしたことがある」人は35.5%、「転職を検討したことがある」人は33.1%という結果が出ています。
つまり、約7割の人が社会人3〜7年の間に、新卒で入社した会社を辞めて転職をしたり、転職を検討したりするわけです。
「自分が将来、こうなりたい! と思える先輩がいない」
「残業代が出ない」
「給料が安い」
「評価制度がない」
「ボーナスが出ない」
「未来が見えない」
こういったことで悩む多くの社会人が「転職」に踏み出すのは、大きくいえば「キャリアアップ」「収入アップ」「将来性のある会社に入る」この3つを手に入れるためです。
しかし、転職によってこれらは本当に手に入るのでしょうか? 僕はかなりの確率でNOだと思います。
それは一言でいえば、結局転職しても会社員のままだから。どんなに盤石な基盤のある会社に移ったとしても、その会社が潰れる可能性はゼロではありません。
それに、他の「より条件のいい会社」に移っても結局、その会社のなかでしか通用しない人になる、というのはどの会社でも変わりません。
加えて、「キャリアアップ」「収入アップ」を勝ち取るためには、「人よりも優れたスキル」「人よりもすごい経験」が必須です。
こういった「誰にでもわかってもらえる派手なアピールポイント」を持たない人が転職したとしても「今よりいい条件」が手に入る可能性は低いでしょう。
「転職で年収アップ」という広告も見たことがあるとは思いますが、「雇用の常識」という書籍には全年齢において転職を一度もしなかったケースが最も年収が高く、転職をすればするほど平均年収は下がる、というデータがあります。
多くの人が一度は考える「転職」は、「大きなリスク」があるのです。
転職がダメならば起業でうまくいくのか?
そんな日々の中、僕は合コンで出会った女性とお付き合いすることになりました。彼女は、カフェでの起業を目指す"意識の高い人"でした。
彼女の話に感化され、僕も少しずつ起業に関心を持つようになりました。起業という世界があるのを、彼女に気づかせてもらったのです。
「なるほど。転職でステップアップするとかじゃなくて、自分で起業する手があったのか!」
ある日、僕は彼女から「私の大好きな起業家の集まるパーティがあるから、田中君も一緒に行こうよ」と誘われるがまま、出かけることになりました。
正直に告白すると、僕は生来の人見知りです。
初対面の人に囲まれると、急に恥ずかしくなって言葉が出なくなることがあります。大学時代のサークル活動や社会人としての経験、勉強会などに参加する機会を通じて、かなり克服したつもりでしたが、そのときはまったくダメでした。
「起業家」たちを前に気後れしてしまい、壁際でひたすら時間をやり過ごすばかり。気を利かせて彼女が起業家の先輩を紹介してくれたのですが、「ああ」とか「ええ」とか言葉にならない言葉を発するだけで、まるで会話になりません。
その日は、心身ともに打ちのめされて帰宅することになりました。
彼女との関係も、その日からギクシャクし始めました。
「会いたい」といっても会ってくれなくなりました。2週間くらい経って「ちょっと話がしたい」と呼び出されて会いに行ったら、一方的にフラれました。
「あなたみたいな人はダメね」といわれたこと、そこが品川駅のホームだったことを今でも鮮明に覚えています。
彼女との別れはしんどかったのですが、同時にこう考えている自分もいました。
「いつか彼女を見返してやろう。それに、彼女にフラれたのをきっかけに起業するというストーリーは面白いかも」
僕は、翌日、早速会社に退職届を出しに行きました。会社を辞める腹はすぐに決まったものの、起業の見通しはまったくの白紙でした。そこで、退職までの引き継ぎ期間に、起業ネタを探すことにしました。
そして、見つけたのが「スマホ向けのホームページを作るコンサル」というネタです。
たまたま会社で、ある企業のスマホサイトを扱った経験もあり、「これなら自分にもできそう」と思ったのです。今考えると自分のブランドで稼ぐ「派手な起業」を結構なめていました。
結論からいうと、僕はコンサルタントとして稼げませんでした。そもそも僕には実績もないし、営業スキルもありません。
「結果の出るホームページですよ」「WEBのコンサルティングをしますよ」と自信を持って提案できないどころか、どうやってお客さんを見つけてよいのかすらわからなかったのです。
たどりついた「地味な起業」
仕方なく、セミナーなどで出会ったお客さんのホームページを無料で作りながら、あらゆるサポートを手伝っていました。「何もしない」という状態には耐えられそうになく、無料でもいいから何か仕事らしいことをしていたいというのが本音でした。
あるとき、僕はお客さんの1人が「店舗の営業法を知りたい」と話していたのを思い出しました。そこで、書店で4冊くらい参考資料を買い、要約したものをレポートにまとめて、お客さんに送りました。何かの参考になれば、というくらいの気持ちで行った行為でした。
ちなみに僕は、店舗営業の専門家ではありません。ただ、本の内容を要約しただけです。作成したのは、普通の会社なら20代前半の若手社員に任されそうな、ごくオーソドックスなレポートです。
ところが、このレポートを見たお客さんは、驚いたことに、僕にこう持ちかけてきました。
「この間のレポートありがとう。参考になったよ。そこで相談なんだけど、月3万円でうちの会社を手伝ってくれない?」
青天の霹靂とはこのことです。
僕は、「特別なスキル」がなければ起業はできないと思い込んでいました。でも、実際にお金になったのは、特別なスキルでも何でもない「地味なサポート」です。
このときはまだ半信半疑だったのですが、それから数々の「地味なサポート」をこなし、お金を頂く経験を繰り返すうちに、確信しました。
「地味な起業でよかったんだ。いや、地味な起業がよかったんだ!」と。