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「どうせ、うちの会社は変わらない」と嘆く社員を量産させる”日本企業の性悪説”

沢渡あまね(業務改善・オフィスコミュニケーション改善士)

2020年05月11日 公開 2023年09月15日 更新

 

メンバーに外へ出るよう促そう

「キャリアマネジメント」も、忙しいマネージャーがなかなか手を回せない領域です。ここでもやるべきことは二つ。

一つは、「この組織の本来価値は何か」をメンバーと話し合うことです。
経理であれば、「書類を細かくチェックして差し戻すことが経理の本来価値でしょうか。

各事業所が気持ち良く予算を使ってコラボレーションを進められるように支えることが、私たちの本来価値ではないですか」といった議論を投げかけて、「だとしたら、現在の紙やハンコベースのやり方が適切か」といった仕事の改善策まで落とし込みましょう。

「どんな仕事のやり方が価値を生み出すのか」を明確にすることで、メンバーは価値を出せる人材になるための経験とスキルを身につけられます。

もう一つは、メンバーに外へ出るよう促すこと。社内にこもって同じ顔ぶれでずっと仕事をしていたら、「外から見たとき、この組織はコラボレーションの相手として魅力的なのか」を判断する基準を持てませんし、外部とつながるにはどんなスキルが必要かもわかりません。

例えば調達部門なら、統制型の時代は業者を呼びつけて価格交渉するだけでよかったかもしれませんが、オープン型の時代は、いかに自社に共感してくれる取引先を探せるかが勝負です。

よって、調達部門で働く人にも、自社が目指す方向性やビジョンを自分事として語れるスキルや人を巻き込む力が求められます。それにもかかわらず、価格交渉のスキルだけで仕事を続けていたら、その人はこれからの時代に不要な人材になってしまいます。

積極的に外へ出て様々な人と交流したり、「私たちはこんな取り組みをしている」と情報発信したりしてください。外に知ってもらって初めて、コラボレーションの相手が見つかる可能性が拓けます。

外の世界を知れば、自分たちに足りないものがわかるので、「このテーマの本を読もう」「この専門家を呼んでメンバーに講演してもらおう」といった学びの機会を自ら作れるようにもなり、メンバーに自律的なキャリアを確立してもらうこともできます。

 

若手の提案を受け入れ積極的に試すべし

マネージャーの中には、仕事が山のようにあるのに、「自分でやったほうが早い」と思って抱え込んでしまう人が少なくありません。この状況から抜け出すには、「オペレーションマネジメント」で、日々の業務が回りやすい仕組みを作ることです。

まずは、「やめること」を決めてください。そうしないと仕事は増える一方です。「試しにやめてみる」でも構いません。「この報告、本当にいるかな?」と迷ったら、試しに1カ月間やめてみる。それで支障がなければ、ずっとやめればいいでしょう。

加えて、仕事を共有する仕組みを作ること。仕事を単純化したり、手順を文書化したりして、他の人に任せやすい仕組みを作りましょう。 誰かに任せれば、マネージャーは目先の仕事から解放され、メンバーは新しい経験を積んで成長できます。

統制型からオープン型へ移行するために最も大事なのは、若手やモチベーションが高い人の声に耳を傾けることです。決して相手を否定せず、自分の常識や経験を押しつけない。

相手を受け入れて、若手が提案するやり方を積極的に試したり、外部の人のアドバイスを取り入れたりする。それが、これからの時代に必要とされるマネージャーになるための第一歩です。

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