会社員に向かない人の特徴(3) 完璧主義で、どんな仕事でも手が抜けない
ある時、日ごろあまりアドバイスなどしない上司が、ちょっと厳しい顔で声をかけてきました。「最近は失敗していないのに、なんだろう?」と頭の中が?マークでいっぱいな私。すると、2人だけの席で、その上司は言いました。
「堀田君、8勝7敗でいきましょう。15勝0敗を狙っている堀田君を見ていると、こちらまで苦しくなってきます」
「7敗しても大丈夫。仕事の失敗でクビになったりはしません」
「会社員で一番困るのは、1敗したら休場してしまう人です」
いままで、さまざまな角度から「会社員には向かない人の特徴」を解説してきましたが、つきつめれば、そのほとんどがこの「完璧主義」の1点に集約されるのかもしれません。
小さな失敗をいつまでも引きずるのは、大から小まで、自分だけは失敗なくすべての仕事を首尾よくやりたいと思っているからです。完璧にしたいから、「後輩がやるより自分がやったほうが」と、なんでも自分で抱えます。
そして、会社に行くだけで疲れているのは、どんな場面でもミスをしないよう、だれからも嫌われぬよう、常に四方八方に気を張り巡らせ、油断せずに身構えているからなのです。
なんでもかんでも完璧にやろうとなんてしたら、会社員は体がいくつあってももちません。結果、消耗して休職してしまったら、それがまわりに一番の迷惑となるのです。
会社員に向かない人の特徴(4) 「自分に合った仕事がしたい!」と思っている
私は人事部の教育担当になったとき、「これが自分のやりたかった仕事だ!」というたしかな感覚をはじめて抱きました。
しかし、私は総合職。数年に1度は必ず人事異動がありますし、もし管理職になったとしたら、求められるのはプレイヤーとしての教育業務ではなく、マネジメントになります。ですから、定年までずっと好きな教育担当でいることなんかできないことは、人事部の自分が一番よくわかっていました。
「自分に合った仕事がしたい!」と常に考え、そうでないとストレスを感じる人は、会社員には向かない人です。「食品と関わっているのが好きだ」などといって、食品会社に入っても、そこには「人事部」や「経理部」そして「情報システム部」といった、食品に直接は関係のない仕事がたくさんあります。ですから、常に食品に関われる保証はどこにもありません。
「人事部で教育担当をやりたい」と希望しても、その座席は1つしかありません。もし、自分以外にも希望者がたくさんいたら、そこでの競争に勝たなければ、その席に座ることはできないのです。
そもそも、「自分に合った仕事をする」という発想と順序が、会社員であればまちがっているのかもしれません。会社には、「会社としてやりたいこと」がまずあるのです。
そのやりたいことを会社がやるための最高の布陣として、「来年は営業30名、商品開発10名、人事部3名」などとまず考えます。そのあとに、「その仕事をだれに任せたらいいか」を決めるのです。
そして、その布陣ではうまくいかないとなると、「営業は10名で、商品開発を30名」と平気で変え、いままで営業だった人を商品開発に配置転換することになります。ですから、その変化に柔軟に対応できないと、会社員として働き続けるのは難しいのです。
「ジョブ型」へのシフトにより、会社員でも「自分がやりたい仕事」につけ、やり続けられる可能性は、かつてよりは高まるかもしれません。しかし、本当に「自分に合った仕事」をやり続けられるかどうかは保証されないのです。