リスクを回避するためには分散投資
イギリスには投資に関する有名な格言として、「卵をひとつのカゴに盛るな」というものがあります。ひとつのカゴだけに卵を入れると、カゴを落としたときにすべての卵が割れてしまいます。でも、いくつかのカゴに分散して卵を入れれば、ひとつのカゴが落ちても残りの卵は無事なのです。
この格言は投資する対象を複数に分ける「分散投資」を勧めています。卵をいくつかのカゴに入れるように、複数の対象に投資すれば、ひとつの金融商品の価格が下がっても、ほかの金融商品の利益でカバーできるのです。
分散投資で分散させる方法としては、「投資する対象の国・地域を分散する」「金融商品を分散させる」「通貨を分散させる」といったものがあります。また、分散投資の手法として、一度に投資するのではなく複数回に分けて時間をかけて投資する「時間分散」もあります。分散投資を行う際は、これらの方法を組み合わせると効果的だとされています。
こうした分散投資とは反対のものとして、特定の銘柄に資金を集中させる投資方法もあります。これは「集中投資」と呼ばれています。集中投資では、投資した銘柄の価値が上がれば大きく儲けられますが、価値が下がれば大きく損をします。ハイリスクハイリターンな運用方法です。
ただし、集中投資だと扱う金融商品が少ないので投資対象をじっくり探せて、売買の判断も丁寧にできるというメリットもあります。
利回りと単利、複利について知っておこう
収益性に大きく関係しているのが、「利回り」です。利回りとは、簡単にいえば投資した金額に対する1年あたりの利益の割合のことです。たとえば、A社の株式を100万円で買い、株価が120万円に値上がりした4年後に売却したとします。手に入る利益は20万円です。1年あたりの利益は5万円で元本の5%に当たるので、利回りは5%となります。
似た言葉として「利率」もあります。利率は元本に対して毎年受け取れる利息の割合のことです。利回りは利息も含めた年単位の利益の割合を示しています。
利息には「単利」と「複利」の2種類があります。単利は元本に対してのみ利息がつきます。それに対して複利では、利息が元本に組み込まれます。利息が出るたびに元本の金額が上がって、もらえる利息も増えるのです。
単利の利益は一定ですが、元本が増える複利では利益が雪だるま式に増えます。複利は単利よりも効率よくお金を増やせて、運用期間が長ければ、その効果はより大きくなります。
こう聞くと単利より複利のほうが優れているように感じるかもしれません。実際、多くの金融商品では複利が採用されています。ただし、複利にもデメリットがあります。複利では得られた利益が投資資金に回されるので、投資に使うお金が大きくなります。そのため運用がうまくいかなかった場合、損失が大きくなる危険性があることを覚えておきましょう。