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日本の「良質で安いものづくり」が経済の停滞を招いたと言えるワケ

和田秀樹(精神科医)

2022年11月30日 公開

 

「リーダーシップのあるのび太くん」を目指せ

これから世の中は、「先に実行した者勝ち」になると予測されます。

AIやメタバースや3Dプリンタなどの先端技術のおかげで、アイデアは昔よりも簡単に具現化できるようになりました。

少人数のベンチャー、あるいは個人レベルでも、頭のなかで描いたものを、すぐに実在するものとしてつくりだせるのですから、現代はチャンスにあふれた時代です。

問題は、アイデアを描けるかどうかです。スティーブ・ジョブズのように、「パソコンとカメラと音楽プレイヤーと電話が一体になっているといいな」と思えるかどうかです。

彼は、ある意味、のび太くんです。のび太くんがしたいことを実現させていった技術者は、ドラえもんのような存在。日本人はドラえもんになれる技術力を持っていますが、今の時代、成功者となるのはドラえもんではなく、のび太くんのほうです。

かつ、「リーダーシップのあるのび太くん」であれば最強です。

EQ(こころの知能指数)の概念の提唱者であるダニエル・ゴールマンは、著書『EQリーダーシップ』(日本経済新聞出版)のなかで、ビジネスで成功する人物が持っているリーダーシップのあり方を分析しています。

そのなかに「ビジョン型」のリーダーシップも挙げられています。社員一丸となって向かえるような「夢」を語れるリーダーが、これからの時代を牽引していくでしょう。

皆さんも、子どものころにはきっとたくさんの「こんなことできたらいいな」という夢を持っていたでしょう。大人になった今も、日常生活の不便から大きな社会問題まで、大小さまざまな「○○だったらいいのに」を感じるでしょう。

それをアイデアにつなげられないか、考えてみましょう。それが、前頭葉を鍛えることにもなります。

前述の通り、製作ツールが飛躍的に充実した今、一見不可能に思える夢でも意外に実現可能かもしれません。どうすればできるかを考え、考えついたことを語り、周囲を巻き込みながら実行につなげていくリーダーシップを、ぜひ発揮していただきたいところです。

 

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