無印良品が取り組む「産地直送」...地域との関わりを持ち続ける意味
2022年12月06日 公開
無印良品はその創業の当初から、地域と地域コミュニティの役に立つことを目指して活動を行ってきました。今回は地域の産品を取り扱うことで、地域で頑張る生産者に貢献することを目指す、「諸国良品」というサービスについて、その思いと活動の概要をお伝えしたいと思います。
全国行脚からはじまった「諸国良品」
無印良品の昔からのファンでお店によく訪れている方でも、「諸国良品」という名前を聞くのは初めてという方が多いのではないでしょうか。また無印良品で買えるのは、株式会社良品計画が企画・製造している自社製品だけと思っている方がほとんどではないかと思います。
しかし実は無印良品のECサイトから、全国津々浦々の風土から生み出された食と、暮らしに育まれた日用品を産地直送でお取り寄せすることができます。これが「諸国良品」です。
「諸国良品」で扱う商品は、市場で一般的に流通している生産物と異なるものを多く取り揃えています。
諸国良品で取り扱っている野菜や果物の中には例えば、不揃いな大きさのため一般市場に出回らなかったもの、色づきが悪かったり、小さな傷があったりしてB級品と評価されてしまうもの、さらには生産数が限られていて、一部地域でしか手に入らなかったものなどが含まれています。
「諸国良品」というサービスが始まったのには2つの大きなきっかけがあります。その1つは2011年11月に青山店のオープンにより始まったFound MUJIという取組です。
Found MUJIは、永くすたれることなく活かされてきた日用品を世界中から探し出し、それを生活や文化、習慣の変化に合わせて少しだけ改良して販売していこうという取り組みです。
そこには新たに作るのではなく、地域の風土から生み出され、歴史の風雪に耐え抜いたものを「探し、見つけ出す」という視点の転換があります。
Found MUJIでは世界中から見つけた商品を扱っていましたが、実際には日本でも様々な宝が眠っているのではないか。そのような考えから2012年4月に始まったのが、日本国内津々浦々を回ってよいものを探し出すMUJIキャラバンという取組です。
MUJIキャラバンでは全国の都道府県をキャラバンカーで回り、約1週間ずつ滞在しながら、地域ならではの暮らしや風土に根差したものづくりを行う生産者を取材しました。キャラバンをお願いしたのは、過去に1年間かけて世界41か国を渡り歩いた経験もあるという長谷川さんご夫妻。
二人が3年にわたる取材の中で見つけてきた商品をECサイトで売り出そうということで始まったのが、2014年に開始された諸国良品の前身である"Found MUJI Market"だったのです。なお長谷川さん夫妻には現在も諸国良品の取組にご協力いただいています。
生産者自身が商品の魅力を伝える
2014年にはじまった"Found MUJI Market"は、2015年に諸国良品と改名されて現在に至っています。サービス開始時からの通算アイテム数は1,700アイテム以上。全国47都道府県のすべてで取り扱いアイテムがあり、季節限定商品などもあります。
ちなみに、諸国良品では商品選定の基準が以下の通り定められています。
(1) 地域に根差したもの大切につくられているもの
(2) 地域の環境や文化を守る取り組みがされていること
(3) 地域の課題解決の一端を担っているもの
中小生産者の方々の役に立つためには少品種、小ロットでもお取り扱いしていくこと、そしてアンバランスでも特色のある品揃えを目指し、売上数は大きくなくても地元ならではの食材の紹介をすることが大事だと考えています。
またもう1つ大事にしているのが、諸国良品に商品を掲載している生産者の声を、リアルで丁寧にお伝えすることです。諸国良品には読み物のページがあるのですが、それらの記事については、生産者の方々に作業の合間にご協力頂きながら制作しております。
実際に生産されている際の苦労や喜びを、消費者の方々により直接的な形でお伝えすることができているのではないかと考えています。
https://www.muji.com/jp/ja/store/articles