1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. 家中おしっこで大騒ぎ...高齢猫にとって“おむつ”は不快なの?

くらし

家中おしっこで大騒ぎ...高齢猫にとって“おむつ”は不快なの?

林ユミ(イラストレーター),小澤真希子(獣医行動診療科認定医)

2023年01月16日 公開

家中おしっこで大騒ぎ...高齢猫にとって“おむつ”は不快なの?

人気イラストレーター・林ユミさんが一緒に暮らしているねこ・ボン(19歳)は、ある日、認知症と診断されます。

ぐるぐる回る、歩き続ける以外にもいろいろな症状があり、中でも「家中でおしっこ」は、なかなかに悩ましい問題だったといいます。しかし、おむつをはかせることへのとまどいがあったそうで…。

認知症ねことおだやかに暮らしていくために、飼い主にできることはなんでしょうか?林さんが、獣医行動診療科専門医の小澤真希子さんに話を聞きました。

※本稿は、林ユミ著、小澤真希子監修『吾輩は認知症ねこである』(小学館)から一部抜粋・編集したものです。

 

おむつを付けるのはかわいそう?

【ユミ】ボンは、亡くなる1か月前くらいから、トイレ以外でのおしっこが始まって、10日くらい様子をみておむつをつけることにしました。

【小澤】トイレの失敗は、認知症でも起きます。認知症になると、空間認識がうまくできなくなって、トイレの場所がわからなくなっていきます。ただ、トイレのことで疑わなければいけないのは認知症だけではなくて、関節炎で動きにくい、腎臓病や膀胱炎でトイレに間に合わないなど他の病気。大抵、認知症だけが要因ではないんです。

【ユミ】そうなんですね。あと、おむつのつけどきはいつなのでしょうか?

【小澤】おむつをつけてイヤがらなかったら、もうつけていいタイミングだと私は思っています。イヤがるようであれば、つけるのがむずかしいですし、本人に排せつの認識が残っていると思うので、他の方法で何とか工夫していくといいです。

【ユミ】どんな工夫ができますか?

【小澤】トイレを、いつもいる場所の近くにたくさん置いてすぐ行けるようにしておくとか、浅いトレーにしてまたぎやすくするとか、活動範囲をうまくせばめて掃除しやすいようにしておくとか。あと、動きはじめるときに出てしまうこともあるので、おしっこのタイミングをよく把握しておいて、ピンポイントで対策をとるとか、いろいろできるとは思うんです。

【ユミ】なるほど!

【小澤】おむつは、適切に使えばすごく便利です。注意点としては、しょっちゅう替えてあげること。尿やけといって皮ふがただれたり、膀胱炎になりやすかったりするので、そこは注意が必要です。

【ユミ】あと、こちらの気持ちの問題もありますね。おむつはなんとなくかわいそうと思ってしまったり。

【小澤】おむつをするなんてかわいそうという方、本当に多いです。でもこれも私は、「赤ちゃんと一緒ですから」とお話ししています。赤ちゃんはおむつをつけていた方が気持ちよく過ごせると思うんですよね。体が濡れて冷えることもないですし。赤ちゃんはおむつをしてもかわいそうではないですよね。快適に過ごすこと、大切だと思いますよ。

 

老化で認知機能と運動機能が衰える

【ユミ】落下したり、すきまにはさまったり高齢ねこにとって、住み慣れたおうちでも命にかかわる危険があるんだなと実感しました。

【小澤】ベッドからの落下はこわいですよね。空間認識に問題が出てきてのことと思います。どこにどういう家具が配置されているということがよくわからなくなってくるんです。さらに、記憶力も落ちてきて、前回落ちたところでもう一度、次の日も落ちるなんてこともあります。

【ユミ】ひえ〜。そうなったら低床生活のはじめどきですね。

【小澤】そうですね。低いところにいい居場所を整えてあげるといいですね。高所だと、ちょっと見張らないと心配になっちゃいますよね。

【ユミ】すきまにはさまるのもなかなか危なかったです。

【小澤】すきまにはさまるのは、認知機能と運動機能の両方が関わってきていると思います。そこがすきまで、その先には何もないということがわからなくなるから入ってしまう(認知)。後ずさりや体勢をうまく変えられないのは、体の運動機能の調整がうまくできないことが考えられます(運動)。認知機能と運動機能のおとろえ、この2つが重なるのが一番多いパターンだと思います。

本人は出ようとしてもうまく動けず、パニックになって長時間興奮して、その後ぐったりすることがあります。日中不在の家ではすごく注意が必要で、はさまった状態が数時間に及ぶのは危険です。熱中症の状態になってかつぎこまれることもあります。

【ユミ】はさまるっておそろしい!いやはや、もっと早く老化なり認知症なりに気づいて、事前にゆっくり準備できればよかったな、と思います。

【小澤】老化の段階に合わせて、生活環境を少しずつ変化させるのがベストですね。一番代表的なのはトイレの形。足が高く上げられなくなって、またげない問題がよく起こります。そういうときはトイレの縁を一部切り抜くとか、薄いトレーに変えてまたぎやすくするとよいですよ。

あと、トイレが寝場所から遠い場所にあると、たどり着けずに途中でもらすことがよくあるので、ある程度、近くにも置いておく。ポイントは、全部一気に変えないこと。ねこは環境の変化を好みません。若いねこでも変化は好きではないんです。変化させるときは、元のトイレも置いておいて、少しずつ新しいトイレを増設していくといいですよ。

次のページ
認知症ねこがおだやかに暮らすために

関連記事

×