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「間違えたっていいじゃない」偉人の“口ぐせ”が表す苦境を乗り越えるコツ

真山知幸(偉人研究家)

2023年01月16日 公開

「間違えたっていいじゃない」偉人の“口ぐせ”が表す苦境を乗り越えるコツ

歴史に名前を刻んだ偉人たちの「名言」には、人生の壁を乗り越えるヒントがあふれています。人生の困難にぶつかったときこそ、発想を変えてくれる偉人の言葉や口ぐせが役に立つはず。そこで、言葉の力で人生を大きく動かした偉人たちの名言をテーマ別にご紹介します。

※本稿は『PHPスペシャル』2023年2⽉号より抜粋・編集したものです。

 

自分らしく、生きていくために

偉人ーー。そう呼ばれるからには、さぞ立派な人物だったのだろう。そう誤解しがちですが、実際のところは劣等生や、はみ出し者が多くいます。

天才アインシュタインは、数学以外まるっきりダメで就職にも苦労し、発明王エジソンにいたっては、小学校を中退。さらに言えば、借金を繰り返した医学者の野口英世や、職を転々とした作家の江戸川乱歩のような挫折を経験した人たちも、偉人には珍しくありません。

また、不遇な人物も目立ちます。喜劇王チャップリンのように貧しい境遇に生まれたり、ノーベル文学賞受賞作家の川端康成のように生後すぐに肉親が次々と亡くなったりと、運命に翻弄されながらも、彼らは苦境をバネに大成しています。

なぜ、偉人たちは、そんなふうに「大きなマイナスをプラスに変える」ことができたのでしょうか。

それは、発想の転換がとても上手だからです。普通の人ならば諦めてしまうような状況も、偉人たちはむしろ絶好のチャンスだと捉えます。そうして見方を変えないことには、マイナスだらけの人生を挽回できなかったからでしょう。

思えば、偉人たちは心に響く「名言」を生み出す達人でもあります。それは何も偉人たちが、特別な人生を歩んできたからではありません。物事の捉え方がまるで違うがゆえに、その発想力あふれる言葉に、私たちは心を動かされるのです。

人生に絶望することなく、発想の転換を繰り返した偉人たち。苦境の中でも「自分らしく豊かに生きていきたい」と願い、行動することを諦めませんでした。そんな信念が、偉人の言葉には表れているように思います。また、偉人たちがたびたび口にした「口ぐせ」には、人生の壁を乗り越えるヒントがあふれています。

人生の困難にぶつかったときこそ、発想を変えてくれる偉人の言葉や口ぐせが役に立つはず。テーマ別に偉人たちの名言を紹介していきましょう。

 

落ち込んだときに唱えたい言葉

◎「間違えたっていいじゃない」フジコ・へミング(ピアニスト)

どうしても自分に自信が持てない。そんな場面が、仕事やプライベートで誰にでもあるのではないでしょうか。そんなときには、フジコ・ヘミングの言葉が不安を和らげてくれそうです。

30代半ばを過ぎてから聴力を失うという悲劇に遭いながらも、60代で再びピアニストとしてスタートを切ったフジコ。その生き方がテレビにとりあげられ、「フジコ・へミングブーム」を世界で巻き起こすことになります。

そんなフジコは、譜面どおり正確に弾くことを重視せずにこう言いました。

「間違えたっていいじゃない、機械じゃないんだから」

自分独特のリズムで、伝えたいままに弾く。人生もまた、そんなスタイルの方が楽しめそうです。

 

怒りがパワーへと変わる言葉

◎「自分の理想の方がずっと高い」夏目漱石(作家)

近代日本を代表する文豪の夏目漱石。文壇デビューは38歳と遅く、それまで紆余曲折がありました。

英語教師としてロンドンに留学するも、重度のノイローゼを患わずらい帰国。友人に勧められて、気晴らしに書いた小説が、名作『吾輩は猫である』です。

しかし、連載初回はそれほど反響がありませんでした。当時の文壇では、島崎藤村の『破戒』や、田山花袋の『蒲団』など自然主義が大ブームだったからです。それでも漱石は落ち込まず、こう胸中を語りました。

「誰が何と云っても、自分の理想の方がずっと高いから、ちっとも動かない、驚かない」

理不尽な評価に晒されるたびに、漱石は心の中でこの言葉を繰り返したのでしょう。周囲を気にせず、自分の理想に向かって、ただ邁進したのです。

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心を奮い立たせてくれる言葉

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