人付き合いに疲れが絶えないのは、相手の心理を深読みしすぎているからかもしれません。心理カウンセラーの中島輝氏が、陥りがちな人間関係の「落とし穴」について解説します。
※本稿は、『PHPスペシャル』(2017年9月号)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
勝手に決めつけていませんか?
友人や会社の上司と話したあと、「〇〇さん、いつもより表情が暗かったみたいだけど、私、何か変なこと言っちゃったかな。言葉選びに気を配ったはずだけど、気づかないうちに失礼なことを口にしてたのかも。私っていつも最後に失敗しちゃう。ダメだわ......」などと思ったことはありませんか?
あなたはなぜ、相手の表情を「暗い」と感じたり、真偽も定かではないのに「失礼なことを言った私が悪い」と思い込んだりしたのでしょう。
その原因は、あなたの「深読み」にあります。
人は、過去に経験した印象的な出来事を手掛かりに、独自の価値観や疑惑を生み出して相手の心を深読みしがちです。
特に、目上の人や憧れの人、つきあいはじめの人、これからもっと関係を深めていきたい人など、自分にとって大切で気になる人の心ほど深読みしがちなのです。
深読みはマイナスしか生まない?
さらに、自分に自信が持てないときほど、相手の些細な言動をネガティブに深読みしてしまいます。これを「意味付けの呪縛」と言います。
例えば、最近つきあいはじめた恋人との週末。本当は楽しい時間になるはずなのに、彼の一挙手一投足に意味を見出そうとして、
「彼は何を考えているのかしら」
「私のことを本当に好きなのかな」
「私といてもつまらないんじゃないか」
と不必要に深読みして疲れてしまう人がいます。これは、自分の無意識が勝手に作り出した意味付けの呪縛にとらわれているのです。