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「居心地の良い顧客」には注意...できない営業マンほど時間を割く訪問先

山田和裕(株式会社フリクレア代表取締役)

2023年03月20日 公開 2024年12月16日 更新

 

営業にも「正解」はある

顧客をセグメントで考え、行動するように、「できる営業」は、結果を出すためのプロセスを大切にします。とはいえ、プロセスなら何でもよいわけではありません。プロセスができていれば、結果はどうでもよいというような夢想家でもありません。結果を出すためにどうすればよいかを考え抜きます。

あくまでも、結果を出すためのプロセスにこだわります。そして、やるべきプロセスを徹底します。つまり現実的な"プロセス思考"なのです。

ただ注意しなければならないのは、プロセスの考え方です。私が考えるプロセスの定義は、「業績アップや業務効率改善のために、会社や組織が整理・標準化した"標準プロセス"」です。

以前は、「結果を出せばプロセスはどうでもよい」「営業が100人いたら、100通りのやり方があっていい」という誤った考え方が幅をきかせていました。しかし、日本経済の失われた時代が四半世紀続き、さすがに精神論だけではやっていけないことにみな気がついています。

少しずつですが着実に、プロセスを重視したロジカルな営業にシフトしてきています。営業本もエビデンスに基づく理論的な内容が好まれるようになってきました。

ところが、結果主義が頭にこびりついている人は、いまだに「結果かプロセスか」という二元論に陥りがちです。実際は、プロセスの積み重ねが結果であり、プロセスと結果は分けられるものではありません。結果主義は宗教のようなものですが、結果にこだわりすぎると、プロセスが見えなくなり思考停止に陥りやすくなります。

誰もが「やるべきこと(プロセス)」をしっかりやって結果を出しています。これまで説明してきたような、相談・課題対応、スピーディなレスポンス、約束を守る、ポイントに合った提案といったことです。

やるべきこと=できる営業のプロセス=営業の正解です。

 

プロセス思考ができているか見分ける方法

「結果が出ない」という悩みがあるのであれば、まずプロセスに分解して原因を探すことです。結果が出ない理由がどこにあるのか具体的なプロセスを分析して特定し、どう改善するかを考えます。そして、改善策をやり抜きます。

これを繰り返し真因を探りながら本質にたどりつくと、「営業の正解」が見えてきます。今まで話を聞いてきた1000人のトップセールスは、こういったプロセス思考を繰り返しているのです。

営業の本質を知るためには、「結果がすべて」という営業の世界にはびこる常識のウソをまず疑ってみることです。

みなさんには、「結果がすべてvs.プロセスも重要」という営業が悩むテーマについて、この機会にぜひ深く考えていただければと思います。

プロセス思考ができているかどうか簡単に見分ける方法があります。担当業務の俯瞰図をプロセスで描いてみることです。簡単なものでよいので、試しに自分の仕事のプロセスを図にしてみてください。A4の紙やホワイトボードに手書きで構いません。

意外に思うかもしれませんが、全体像が具体的なプロセスで描ける人と、そうでない人ははっきり分かれます。考えている以上に差が出ます。長年やっていても描けない人もいれば、若くてもサッと描ける人もいるのです。

「できる営業」はすぐ描けます。普段からどうやって成果を出せばよいか、プロセス単位で考えているからです。「できない営業」はなかなか手が動きません。部分的にしか描けません。プロセスを意識していないからです。

プロセス図は結果を出すための羅針盤です。プロセスが描けなければ、効率的に成果が出せるはずがありません。結果を出すためのプロセスが描けるかどうかは試金石なのです。

【山田 和裕 (やまだ かずひろ)】
株式会社フリクレア代表取締役。プロセスコンサルティングの第一人者。
総合商社丸紅での船舶ファイナンスからIT業界へ転身。「プロセス見える化」と「プロセス評価」を連携させた"プロセス主義(R)"を提唱。特に営業の見える化を得意とし、業種・業界にとらわれず、100社以上の大手・中堅企業のプロセス改善・営業強化に貢献。

1000人以上のトップセールスに行ったヒアリングと分析をもとに、「できる社員」の勝ちパターン = 成功特性を標準化して「見える化ツール」にまとめる独自の"3次元プロセス分析法(R)"を開発。著書に『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)などがある。 

 

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