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生き方

自分を苦しめる“親子関係の典型例5つ”...生きづらさを取り除くには?

Poche(心理カウンセラー)

2023年03月28日 公開

 

親のタイプ別に対処法をチェック

親のタイプごとに子供に与える影響と対処法を紹介します。

(1) かまいすぎる親
大人になった子供に対して、境界を越えて関わり続けてくるタイプ。親であることを自分の存在価値としているので、子供の自立を妨げようとします。
このタイプの親の子供は、親の目つきや表情から「親の様子」を察するのが得意に。子供の頃から親のために行動してきたので、自分の意見や気持ちがわからなくなりがちです。また、親を悲しませることに罪悪感を抱きやすくなります。

【対処法】
親の様子を察しない時間を増やすことが大切です。親への相談や報告を控え、自分で決断する回数を増やすとともに、人間関係では、「自分はどうしたいのか」について意識して考えましょう。

(2) 親子が逆転する親
遊園地に連れて行ったのに子供が喜ばないと怒るような親です。子供は親を喜ばせるために出かけるようになり、親子の立場が逆転します。
この親の子供は親の機嫌に合わせ、支えになろうと頑張り続けた結果、親にやってきたことを他人に対してもするようになります。また、他人に対して尽くしすぎたり、助けすぎたりしてしまい、誰かに頼るのが極端に苦手に。

【対処法】
親のために動く回数を減らすこと。「子供の頃、親を充分助けた」と過去の自分を認めて、「自分のために動く」回数を増やしてみましょう。あなたが誰かを助けたように、あなたも誰かに助けられていいのです。

(3) コントロールする親
「あの人とつきあってはダメ」など親の価値観を押しつけて、コントロールしようとします。「友だちか親か」「恋人か親か」「夫か親か」といった二者択一を迫りがちです。
このタイプの親に育てられた人は、白黒思考が強く、自分の望みより他人の望みを優先するようになります。また、心の中に「幼少期の親」が常にいるので、親に似た支配的な人に服従するか、敵意を抱きやすい傾向に。

【対処法】
他人と勝つか負けるかの関係を築く必要はなく、助けてくれる人もいると知ること。誰かにお願いしたり、自分の要求を伝えたりして叶えてもらう経験を積み重ねていくことが大切です。

(4) 自己愛が強い親
このタイプの親は、精神的に未熟で不安定な人が多く見られます。子供の自己主張を自分への攻撃とみなし、自分が間違っていることを認めない傾向も強いため、嘘をつき、子供に責任転嫁することも。
常に優位に立とうとする親により、子供は自分が欠点だらけだと感じ、「自分なんてどうせ」という思考にとらわれやすくなります。また、どれだけ努力しても自信を持てなくなることも。

【対処法】
こういう親に受け止めてもらおうとしないこと。親を満足させることは不可能とあきらめたほうがいいでしょう。親と似たタイプの人に振り回されやすいので、そういう人からは積極的に離れるようにしましょう。

(5) 無関心・虐待する親
親から愛されず、無視や暴言、暴力などの虐待を受けて育った子供は、「努力次第で愛してもらえたのではないか」「自分が悪かったせいで愛されなかったのではないか」と考えたほうが、精神的に楽なことがあります。
その結果、自虐的になり、自分の価値を見失ってしまうことに。また、自分は何のために生まれてきたのかがわからず、常にはかり知れないほどの不安を感じます。

【対処法】
親が愛してくれなかったのは自分のせいではなく、「親自身に愛する力がなかったから」と納得できるのが最終的なゴールです。親を許せなくてもいいので、「親を許せないと思う自分」を許してください。

 

自分の人生を取り戻すヒント

親子関係に問題を見つけても、もう起きてしまったことだから取り返しがつかないと思われる方がいらっしゃるかもしれません。でも、親がもう亡くなっていても、今から充分人生を取り戻すことができます。

まず、対人関係において、どういうときにあなたが不安や焦りを感じるのかを思い出してください。そのときにとるあなたの行動が、親に対して行なってきたことです。その行動を変えてみるだけでも、人生を変えるきっかけがつかめます。

親から「絶対にやってはダメ」と言われていたことを、大人になってから一つ一つ試してみるのもいいと思います。親によって植えつけられた価値観を手放し、自分の本当の気持ちに気づいて、認めることが大切です。

コロナ禍においては、行動が制限されてきました。そうした状況では、我慢に耐えられる人はますます我慢し、我慢できない人は爆発します。つまり攻撃する人とされる人の格差が広がるのです。

でも、攻撃される人はその人が弱いからではありません。むしろ耐えられるから攻撃される。強く生きられる可能性は、攻撃される人のほうが高いのです。

親子関係に悩んでいる方に伝えたいのは、あなたが悩んでいる時点でもう大丈夫だということ。悩んだり傷ついたりするのは弱さではなく、精神の強さです。悩んでいるあなたは大丈夫。そう信じてください。

 

親との適切な距離のとり方

過去を変えることはできませんが、今、できることからはじめてみませんか。ここでは、親との適切な距離のとり方をご紹介します。

(1) 物理的に距離を置く
親に連絡したり、会う頻度を減らしたりするなど、物理的に距離を置いてみましょう。親から電話がかかってきても毎回出ずに、自分の都合でかけ直すだけでも、関係性が変わります。

(2) 親の言葉を検証する
親から「のろま」「やる気がない」などと否定されてきた人は、その言葉が事実なのかを客観化することも大切です。いつ、どこで、どんなときに言われたのか、本当に「のろま」だったのかを思い出してみてください。紙に書き出すと、より客観的に判断できるのでおすすめです。

(3) 親のルールを捨てる
親からの「やるべき」というルールにとらわれている人は、紙に「やるべきこと」と「自分がやりたいこと」を書き出してみます。「やるべきこと」と「やりたいこと」が一致していれば、それをやりましょう。あくまでも優先するのは、「やりたいこと」です。

(4) 自分なりの言葉に変える
親の口ぐせがつい出てしまい、自己嫌悪におちいってしまう人は、違う言葉で言い直すのがいいでしょう。「ああ疲れた」は「ああ頑張った」に、「くそっ! ムカつく」は「しーらない」に、「これしかできなかった」は「これができた」に。日頃の口ぐせを変えるだけでも、生き方が変わります。

【Poche(ポッシュ)】
精神科クリニックに心理カウンセラーとして10年以上勤務した後、独立。現在、人間関係、親子関係、機能不全家族の問題を専門とし、メールでのカウンセリングを中心に活動。著書に『あなたの「しんどい」をほぐす本』(KADOKAWA)などがある。

 

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