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たかが段ボール、されど売上100億へ...富山のメーカーが“世界一の称号”を得た理由

橋本淳(サクラパックス株式会社 代表取締役社長)

2023年09月11日 公開 2024年04月04日 更新

 

世界一の称号を獲得するまでに成長

サクラパックス

――社内が大きく変化したことを実感できることは何でしょう

顧客本位でニーズに応えるトータルパッケージサービスを提供する会社を目指し、発想力や技術力を磨いてきた結果、世界包装機構の「ワールドスターコンテスト」日用品部門で最高賞を受賞、世界一の称号をまで獲得することができるようになりました。

また、こんなことがありました。「もっと、うちの商品が売れて欲しい」、顧客の声を追求した結果、BtoB事業をおこなう段ボール製造会社が、BtoC事業にまで領域を拡大させ、三井アウトレットパーク北陸小矢部にて、北陸ならではの食品や工芸品を販売するセレクトショップ「the Made In」を開業しました。

このように顧客が抱える課題を一緒に解決していく、そんな取り組みを通して顧客の利益向上を支える役割も担えるようになった様子が見えた時に変化を実感します。

それから、社員の変化は社外からよく伝わってきます。先日も、「お宅の営業マンは凄い、とにかくこちらの考えを聞いてきて、こちらの要望や課題に真摯に向き合い、なんとか答えようとする。あの執念のような気合いがすごい!」と、得意先の社長様から言葉をいただき、社員の変化と成長をしみじみ実感しています。

――創業100年目へ向け、今後の取り組みや目指す会社像とは

顧客本位の理念をもとに社員の教育や強い組織づくりを推し進めてきた結果、今年度の売上は100億を超え、経常利益も7〜8%、自己資本比率も83%となりました。しかし、国内外の経済環境を考えると、さらなる努力が必要となるでしょう。

弊社には顧客の利益をとことん追求するマインドと実現化するための高い設計技術力があります。この強みを最大限に活かし、段ボール並びにパッケージ設計を活かした新規事業や新製品を仕掛けていきたいと考えています。

まず、梱包や輸送に関わるプラスチック製品を紙製へ置き換える脱プラ活動。また、世界進出として大型の機械や車両のパーツを輸送する際に使用している木や樹脂製の梱包資材を段ボールに置き換える活動の拡大。さらに、新たな輸送手段として開発が進むドローン運送の梱包資材市場へも進出を始めているところです。

「しょせん段ボール」と思い段ボール箱を作るだけだった弊社が今では段ボールを新たな視点で使いこなし、新たな価値を提供する企業に変化しています。この先、万一段ボールが存在しない時代が来たとしても、さらなる笑顔と価値創造を提供する企業として存続しつづけたいです。

 

著者紹介

橋本淳(はしもと・あつし)

サクラパックス株式会社 代表取締役社長

1971年5月 富山県富山市生まれ。1994年3月 法政大学経営学部卒業。1994年紙商社勤務(京都)、1995年から米国留学。1996年11月サクラパックス株式会社入社。専務、副社長を経て2008年5月、代表取締役社長に就任。現在14年目。2011年日本青年会議所 副会頭を務め、防災担当として東日本大震災の復興に取り組む。2022年 富山商工会議所 副会頭に着任。
社長就任後、旧態依然の企業体質にメスを入れ、理念ドリブンで組織を改革。徹底した業務の仕組化とPDCAで顧客本位の会社へ再生。トータルパッケージサービス企業として事業領域を拡大、社会貢献事業も多く手掛け、売上100億円、社員350名の有望企業へ成長。

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