心を読む能力が高いほど、人間関係はうまくいく――。心理学者の内藤誼人さんは、著書『10秒で本音を見抜く心理術』にて過去の研究結果をもとに、人の心を読むことのメリットを解説しています。
本稿では同書より、見た目から相手の本質を見抜く方法をご紹介します。
※本稿は、内藤誼人著『10秒で本音を見抜く心理術』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
なぜ「おしゃれな人」は社交的なのか?
その人の性格が、社交的なのかどうかは、その人の着ている服装を見れば、あっという間に見抜くことができます。
おしゃれで流行を取り入れた服なのであれば、社交的だと考えて間違いないでしょう。ファッション雑誌のモデルが着ているような服だと言えば、わかりやすいでしょうか。そういう服を着ている人は、男性でも女性でも社交的な人です。
ドイツにあるグーテンベルク大学のサラ・ハーシュミューラーは、20名の男性と36名の女性に自己紹介をしてもらい、その場面をビデオに録画させてもらいました。また、社交性を測定する心理テストも受けてもらいました。
次に、そのビデオを別の判定者に見せ、「どのくらい社交的な人だと思いますか?」と尋ね、しかもどういう手がかりでそう判断したのかも教えてもらいました。
その結果、判定者が社交的な人なのかどうかを判断するときの手がかりの1位は、服装でした。ファッショナブルな服を着ている人ほど「社交的」と判断されやすく、実際にそういう人は心理テストでも社交性が高かったのです。これは男性でも女性でもそうでした。自己紹介で話した内容とか、元気な声で話すかどうかということでも社交的かどうかは判断できましたが、最もてっとり早く、しかも正確に見抜きたいのであれば、服装に注目すればいいのです。
社交性は、服装に出る
なお、性格的に内気な人が好む服装は、社交的な人とは反対です。内気な人は、出かけるにしても一人で外出することが多いので、おしゃれをする必要がありません。だれかに見せる必要がないので、おしゃれでなくともかまわないのです。流行の服も着ることはありません。地味で、あまり目立たない服装を好みます。性格的に、他の人の注目を浴びそうな服は慎重に避けます。
相手の内面や性格を見抜くのは、相当に親しくならないとわかりませんが、服装なら見てすぐに判断できます。パッと見ただけで、「ああ、社交的な人なのね」ということが一瞬でわかります。ファッション雑誌のモデルがそのまま現実に出てきたような印象を受けるのなら、社交的な人と見なしても外れることはないでしょう。
同じようにして、「この人は、たぶん内気な人」ということも、服装を見れば見抜くことができます。言葉が悪いのですが、失礼を承知で申し上げますと、内向的な人は男性も女性も、「ダサい」のです。「うわっ、ダサいな......!」と感じるのなら、おそらくは性格も内向的な人だと考えてよいのです。
第一印象は、驚くほど正確である
読者のみなさんは、相手の人柄や感情を見抜くには、その人とじっくりと深く付き合う必要があると思っているかもしれません。「わずかな時間で知らない人の心を読むなんて絶対にムリ」と思っているのではないでしょうか。
しかし、人を見抜くのにそんなに時間をかける必要はありません。何か月も、何年も付き合ってみないと相手の人柄や感情が見抜けないというわけでもないのです。さすがに、どんなことも10秒で見抜くことができる、というわけにはいきませんが。
ドイツにあるビーレフェルト大学のピーター・ボルケナウは、男女50名ずつに性格テストや知能テストを受けてもらい、次に、部屋に入って椅子に座り、天気予報の文章を声に出して読み上げて部屋から出ていく、という作業をしてもらいました。その場面はビデオで録画させてもらいました。だいたい約90秒のビデオです。
そのビデオを別の人に見せ、どのような人物なのかを推測してもらいました。すると、わずか90秒ほどのビデオを見ただけなのに、その人が社交的な人なのかどうか、知能が高いのか低いのか、といったことは正しく推測できることがわかったのです。わずか1分半でも、相手がどんな人なのかはだいたいわかるのです。
人柄は、短時間でも見抜ける
もっと驚くべきことに、「1分もいらない」ということを示す研究もあります。ハーバード大学のナリニ・アンバディは、13人の先生が講義をしているビデオを、30秒間だけ学生に見せて、その先生の授業のうまさや人柄(温かさ)などを推測してもらいました。
その推測を、実際にその先生の講義を受けた学生の評価と比べてみると、かなり一致することがわかりました。30秒でも、その先生がどんな先生なのかを見抜くことはできてしまうのです。
どうしてそんな芸当ができるのでしょうか。その理由は、私たち人類は、知らない人がどんな人なのかを正しく見抜く能力を進化させてきたからです。
見知らぬ人と出会ったとき、その人が信用できる人なのかどうか、こちらに害意を持っているのかどうかを正しく見抜けないと、危害を加えられてしまう可能性があります。そのため人類は、相手がどんな人なのかをできるだけ一瞬のうちに察知できるような能力を進化させてきたのです。現代に生きる私たちにも、そういう能力が受け継がれてきたと考えることができるのです。
「私は相手の感情なんてさっぱり読むことができない」という人もいるかもしれませんが、そういう人は例外と言ってよく、たいていの人はわずかな時間でも相手を正しく見抜くことができるものなのです。









