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なぜ日本は労働生産性が低い? 「人材投資を怠る企業」の問題点

大賀康史(フライヤーCEO)

2023年09月06日 公開 2024年12月16日 更新

 

外資系企業と日系企業の違い

元々離職率が高かった外資系企業では、日系企業よりも他社との比較を常にされる環境にあったため、実際に人材投資額も大きく、人材の成長につながる研修を整備してきた傾向があります。

例えばOff-JTの内容を比較すると、外資系企業は日系企業よりも中途採用者向けの導入研修、コーチング、eラーニングなどのオンライン学習プログラム、スマホ・タブレットを使用したマイクロラーニングの提供、社員が講師となる勉強会、コンプライアンス研修などが充実していると言われています。また、副業・兼業に関しても外資系企業の方が寛容です。

日本でも雇用環境が経営者にとっても被雇用者にとっても不安定になったため、外資系企業に近づいていくことは自然な成り行きと言えます。人材投資が進んだ海外の事例を参考にすれば、人材不足が慢性化する時代を乗り越える示唆が得られます。

 

人材育成投資が成果に結びつくプロセス

では、人材育成投資が増えれば、どのような経路をたどって成果に結びつくのでしょうか。本書はそこに潜む大いなる誤解に切り込んでいます。

現代のほとんどの経営者や人材育成担当者は、研修によって社員のスキルが上がり、それによって生産性が上がる、と考えているのではないでしょうか。そのため、研修によってどれだけスキルが上がったかをテストによって検証することもありますし、場合によっては資格試験によって計測しています。

しかし、実は教育研修の充実度と生産性には直接の相関がない、という重要なデータが紹介されています。それでは、研修により何が改善され成果を高めるのか。

その答えは、マインドの変化です。教育研修により、スキルの前にまずマインドに変化が生じ、主体的な思考プロセスと創造的思考プロセスが促され、それにより生産性の向上につながる、というわけです。この流れに従うと、それぞれの変化には明確な相関関係が見て取れます。

たしかに自分自身も研修を一つ受けて、すぐにスキルが向上した記憶はほとんどありません。一方で、研修により考え方が変わり、行動が変わったことはあります。会社のメンバーを見てもそういう変化は見られます。

つまり、本来研修の直接の成果として見るべきところはマインドおよび主体的な思考の変化と言えそうです。

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それぞれにとっての人的資本経営

著者紹介

フライヤー(flier)

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