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「30代中盤からは、チーム内で話さない方がええ」堀江翔太が悟ったベテランの役割

堀江翔太(ラグビー選手)

2023年09月18日 公開 2024年08月08日 更新

 

ベテランになったら、誰よりもリーダーの言葉に耳を傾けないといけません

僕がこんなことを考えるようになったり、リーチがキャプテンを退いたりしたのは、なんだか偶然じゃないと思います。チームにとっても、個人にとっても必要なフェイズだったと思います。

いいチームや、集団としてうまくいっている状態というのは、ヘッドコーチやスタッフが示したことに対して、選手、スタッフとも全員が同じ方向を向いて、同じ方向に動くことがいちばん大切なんです。それに気づいたのは、2019年のW杯を戦ってからです。

あのチームの一員として感じたのは、みんながやろうとしていることに対して、僕みたいなベテランが率先して動けば、チームが同じ方向に向かっていきやすいということです。そうした役割を、自分としてはハッキリと自覚しました。

キャプテンを退いてから、喋りすぎたんちゃうかなと反省しつつも、一時期はパナソニックでも日本代表でも、「それ、ちゃうと思うけどな。こっちのほうがええんちゃう?」と言ってしまったこともありました。

それはわがままというか、自分が思っていることのほうが組織にとっては正解じゃないか、という思いから発言したんですが、キャプテンでもなく、リーダーシップ・グループのメンバーでもないベテランが異を唱えるというのは、よくよく考えてからにしないといけないと気づいたんです。

しゃしゃり出て、いい結果になることはあまりないですよ。たとえ、その意見が正論だったとしてもね。

正直なところ、ベテランになると自分の「地」が出てきてしまうんです。自分でよかれと思って行動していても、往々にしてそれがチームの邪魔になってしまうことがある。これ、会社などの組織でもようあるって聞きますけど、同じような感じなんですかね?

本当に意識して行動しないと、足を引っ張ることにつながりかねない。で、「地」でやってるから、足を引っ張っていることにさえ気づかない。最悪ですよね。

ベテランに求められるのは、集団のリーダーが年下ならば、サポートする。それに徹する。相談を持ちかけられたら、自分なりの視点からアドバイスをしたり、一緒に考えたりはする。でも、しゃしゃり出てはいけない。

口が出そうになるけれど、リーダーの言うことを中心に据えて行動するのがベストだと思います。

だからいまは、練習中の円陣でもあまり話しません。「頑張っていきましょう」と声を出すのはリーダーの仕事。僕のいまの仕事は、円陣の輪に誰よりも早く到達して、リーダーの言葉を待つことだと思ってます。

なんか、いまは高校生の時みたいな感じです。ベテランだからといって、ダラダラ動いていたら、それはチームの雰囲気を壊すことにつながるし、しっかりと動くということが大事なんかなと。キビキビと動きたいです。

世の中には、「いつまでも若い気持ちを忘れずに」みたいなことを言う人がいるじゃないですか。でも、それは違うのかなと思います。やっぱり、年齢にふさわしい考え方や行動というものがあるんじゃないですかね。

そういえば、黙っていたほうがいいのは、なにもグラウンドにいる時ばかりではないです。

W杯が終わってから、ありがたいことにいろいろなテレビ番組に出演させていただきました。僕はチームメイトの稲垣と福岡堅樹(現在は引退しています)と出ることが多かったんですが、質問をされたら答えるというスタンスで、自分からはあまり話さないようにしていました。

だって、年上の僕が真ん中に座っていたら、ガッキーも堅樹も話しづらいですよ。ラグビーは上下関係が緩いとはいっても、年齢の上下はありますからね。後輩が黙っているほうが普通です。

そんな状況になるんやったら、そもそも僕が出なくてもいいし、出演するとなっても、周りの後輩が話しやすい雰囲気だけは作りたいです。必要以上にかしこまることなく、変に笑いを取りにいこうとはせず、普通通りにしていようというのは、テレビに出る時はいつも思ってます。

変なところで気を遣っているように思われるかもしれませんが、ベテランは後輩が動きやすいようにするのを大切にしたほうが組織、ユニットはうまく回っていくんじゃないかと思うわけです。

 

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