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生き方

40代半ばで離婚...失意の女性がビーチで遭遇した「人生が変わる予兆」

ダイアン・カードウェル(ジャーナリスト)、満園真木(訳)

2023年11月17日 公開

 

入りまじる不安と期待

費用は捻出できなくもなかったが、本当にそんな余裕があるんだろうか。離婚後、家計の収入がふたりぶんからひとりぶんに減ったのに支出を減らせず、つい最近までやりくりに苦労していたというのに、夏の休暇にそんな贅沢をしていいんだろうか。

とはいえ、逃すには惜しすぎる機会に思えたし、何かの天のお告げのようにも感じられた。先に何が待ち受けているのかまだよくわからなかったけれど。

 

思いを行動へ

今日、モントークで思いがけないものを目にした。ボードだけで、海と一体になれるようなウォータースポーツ。カヤックに乗ったときも、自分が川や入り江やマングローブの一部になれたような感じが好きだった。じゃあサーフィンは? なんだかそれ以上に楽しそうに見えた。

車に乗りこんで走りだしたときは、すばらしい最初のデートの帰り道のような気分だった。サーファーたちの姿を思い浮かべては、波に乗るのはどんな感じだろうと想像した。

が、密に植えられた木々や石造りの陸橋を見ながら公園道路を走っているうちに、だんだん勢いがそがれ、やめておいたほうがいいのではと不安になってきた。道具を借りてレッスンを受けることはできるかもしれないが、いくらかかるのかも、どこでいいインストラクターを見つければいいのかもわからない。

そこで思いだした。ジムはサーフィンをやってる! 彼ならどこへ行けばいいかわかるかもしれない。

そうだ、そうすべきだ、と考えながらサーフビーチに入り、アトランティック・アベニューに立ちならぶ自動車修理工場や事務所や教会やカクテルラウンジの前を通りすぎた。

 

再びの独身生活

結婚生活がだめになってからは、ひとりでどうやって休暇をすごすかに頭を悩ませてきた。友人の大半は結婚していて子供がいるから、ファミリー向けの保養地に出かける。

わたしも冒険心がないわけではないが、ひとりで長い旅行をしようという気にはなれなかった。2年前には、家庭の問題から逃れるいい機会とばかりに、カリフォルニアのスタンフォード大学で1年間、ジャーナリズムのフェローシップで学んだ。

カリフォルニアへ行く前には、イタリアのコモ湖のほとりの小さな町でデジタル写真を学ぶ1週間のグループ講座に参加した。そこで地元に住むジョージ・クルーニーと出会って恋に落ちれば万事解決、そんな想像ばかりしていた。

彼はわたしから見て年相応で、ジャーナリストの仕事に敬意を持っていて、おたがいすぐに意気投合する。もちろん、ジョージ・クルーニーの影も形もなかったが、そこでの写真のグループ課題のおかげで、人見知りを克服でき、新しい場所への探検心も生まれた。

モントークの家を借りれば、きっと同じようになる。そう自分を納得させた。サーフィンに取り組むことで時間の使い道ができるし、ひょっとしたら新しい出会いもあるかもしれない。

 

心の声にいまを預ける

自宅のブロックが近づいてきて、昼さがりの日ざしに赤煉瓦が光るベッドフォード・ユニオン・アーモリーのお城のような威容を通りすぎるとき、心に決めた。

その夜、ベッドに入って枕に頭をのせると、モントークでの1週間が楽しみで笑みが止まらなかった。目を閉じ、その朝見た景色を何度も脳裏で再生した。波の上を力強く自由にすべる、あの美しく優雅な人々。そして、キラキラと輝く海で踊る自分の姿を思い浮かべながら、ようやく眠りに落ちた。

 

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