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話が長い、専門用語を多用...人望のない上司がする「NGな話し方」

相原孝夫(人事・組織コンサルタント)

2023年11月22日 公開

話が長い、専門用語を多用...人望のない上司がする「NGな話し方」

リーダーに求められる条件とは何でしょう。3000人以上のインタビューを通しハイパフォーマーを分析してきた人事・組織コンサルタントの相原孝夫さんは、「まず、良いコミュニケーションを図るための"バランス感覚"が大切だ」と言います。バランスの良い対話とはどのようなものか、解説します。

※本稿は、相原孝夫著『人望が集まるリーダーの話し方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。

 

話の内容以前にバランスが重要

リーダーに求められる条件を経営者に聞くと、多く出てくるものの1つとして「バランス感覚」があります。

対話に関してもやはり「バランス感覚」の違いは顕著に表れます。量にも質にも表れます。

まず、量について言えば、バランス感覚に優れた人は聞いたことに対して適切な分量話すことができます。対話においてこれはとても重要なことであり、話が弾むかどうかも、内容以前に話の分量がそれを左右します。

誰しも経験があると思いますが、質問してもほんの一言しか返ってこなかったり、自分が熱心に話してもほとんどあいづちがなかったり、そういう人と話していても話が弾むことはありません。

反対に、長くしゃべり続ける人と対話を継続するのも難しいものです。途中でさえぎるのも失礼かと思い、あいづちを打ちつつ聞いていると、いつ途切れるともなく話し続ける人も中にはいます。

どれくらいの時間が適切かは話の内容や相手との関係性にもよりますが、双方がその場に合わせて適切な分量を相互に話すからこそ、対話にリズムができて話が弾み、互いに話していて楽しいと思えるわけです。

では、この対話において適切な分量を話せるかどうかの違いは何でしょうか。

話を適切に整理する論理的思考などもあると思いますが、それ以前にまずは相手への配慮にあります。返答が短すぎたり、長すぎたりすれば、相手の反応は思わしくないはずであり、配慮があればそうした表情を読んで適切に調整することができるはずです。

しかし、バランス感覚に乏しい人の場合、相手への配慮がなく、自分の思いのままに話しているため、相手にとって適切な分量とはならないのです。

こういう人の場合、目の前にいる人がよく見えていない、あるいは見ようとしていないくらいですから、当然ながら周囲のことも見えていません。視野が狭く、俯瞰するようなことができるはずはないのです。

つまり、視野の広さや全体感といった面でのバランス感覚にも欠けている可能性が高いわけです。それが端的にわかりやすく表れているのが対話の場面とも言えるでしょう。

こう考えると、コミュニケーションにおけるバランス感覚は仕事の成果を決定づける重要な要素であると言っても過言ではないように思われます。経営者に求められる条件の一番目に出てくるのも納得です。

 

抽象化と具体化のバランス

ハイパフォーマーは分量だけでなく、内容(質)的にも適切に話をします。

抽象的すぎず、具体的すぎない。この点はなかなか難しいところです。抽象的なことばかり話していると実感がわかないということがあります。「なんとなくはわかるけれども......」という場合は、抽象的な話が続いているケースです。

たとえば、「企画の仕事でもとにかくスピードが重要です。若手であればなおさら重要で、スピードこそが成果を左右するのです」と力説されたとして、「まあ確かにスピードが重要というのは間違いではないだろうけど......」と思うわけです。

それに続けて「若手メンバーの場合、上司が期待していることを最初から的確に捉えることは難しく、また、上司としてもまだ何も形になっていないうちに期待を明確に伝えるのも難しい。

だから、外れていてもいいので、まずは早急に一次アウトプットを作成し、上司とすり合わせることが、最終的に十分な品質のアウトプットをつくる上で重要なのです」と話してもらえれば、「なるほど、そういうことを言っていたのか」と理解できるわけです。

いま、「たとえば」と入れて具体例を示しましたが、それは、それ以前の文が抽象的な内容だったからです。具体例を入れずに話を先に進めたら、おそらく読者の皆さんはやや悶々とした思いを抱えつつ読み進めることになるでしょう。

抽象的な話ばかりをする人の問題は、「たとえばどういうことですか?」と聞いたとしても首尾よい返答が返ってこないことが多いものです。

なぜならば、一般論など抽象性の高い内容を多く話される人は、具体的な思考が働きづらい人である場合が多いからです。そういう人は、仕事上も具体的思考を働かせずに事を進めがちです。

たとえば、チャレンジングな行動を起こす場合、「どこにどんなリスクがあるのか」を見極めずに、また、「あらかじめ誰を巻き込み」「誰に話を通しておくべきか」を考えず、「まあなんとかなるだろう」という感じで場当たり的に事を進めてしまうような人です。

そう考えると「話し方の癖」というよりも「思考の癖」と言ったほうがいいのかもしれません。「思考の癖」が表出する場面が対話の場面ということになります。

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「たとえば」と「要するに」

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