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“ウナギ”の不思議…その生態は謎だらけだ!



2012年07月25日 公開

塚本勝巳(海洋生命科学者、世界的ウナギ博士)

うなぎ

日本で古くから親しまれてきた“ウナギ”。実はその生態は謎につつまれている。

海洋生命科学者の塚本勝巳氏は、著書『ウナギ大回遊の謎』にて、ウナギの未だ明らかになっていない不思議について紐解く。

※本稿は、塚本勝巳 著『ウナギ大回遊の謎』(PHPサイエンスワールド新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

ウナギの生態は謎に包まれている

ウナギは淡水魚だと思っている人が多い。事実、ウナギは「淡水魚図鑑」には必ず載っているが、「海水魚図鑑」でウナギが取り上げられることは極めてまれだ。しかし、ウナギは淡水魚でも海水魚でもない。一生のうちに海と川を行き来する「通し回遊魚」と呼ばれるグループの魚だ。

最新の研究成果に基づけば、ウナギはもともと海に起源があるらしい。それが太古の昔、川に入る習性を身につけた。やがて川や池でその生涯の大部分の時間を過ごすようになり、今ではすっかり淡水魚のイメージが定着した。

ウナギの産卵場は海にある。産卵場はその生き物の繁殖が行われる場所だ。繁殖は生物の生活史の中で最も重要なイベントなので、それが行われる場所は特別な意味を持っている。

広い海の中でも、特別な海域にこだわりがある。だから、ウナギはむしろ海水魚と理解したほうが正しいかもしれない。淡水域で見慣れたウナギの姿は、彼らにしてみれば世を忍ぶ「仮の姿」といえる。

 

ウナギの生態は謎に包まれている。なかでも、とびきりの謎が産卵場の問題だ。人びとはウナギがどこで生まれるのか、長い間不思議に思ってきた。

泥の中から自然発生するという説や、山芋がウナギに変わるという話は有名だ。研究が進んだ今でも、ウナギは浜名湖で生まれると思っている人もいる。それほどにウナギの産卵場の謎は深く、未解明であると一般には思われている。

しかし近年、太平洋のニホンウナギの産卵場問題は、大きな展開を見せた。世界初の卵や親魚が採集された。それらを研究することで、ウナギの産卵生態の理解は大きく進んだ。古代ギリシャのアリストテレスの時代から2400年、ついにウナギ産卵場の謎は解明された。

なお、ここで「ウナギ」というのはウナギ属魚類全般を指し、「ニホンウナギ」は私たちがふつう蒲焼きにして食べるAnguilla japonica という種のことである。

 

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