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ゴリラやチンパンジーの方が合理的? 人間の男はなぜ、若い女が好きなのか

池田清彦 《早稲田大学国際教養学部教授》

2016年06月09日 公開 2024年12月16日 更新

ゴリラやチンパンジーの方が合理的? 人間の男はなぜ、若い女が好きなのか

<<本稿は池田清彦著『オトコとオンナの生物学』(PHP文庫)より一部抜粋・編集したものです。>>
 

男は若い女に、女は孫に!?

芸能界では、年の差カップルがよく話題に上る。最近では、20歳差、30歳差なんていうのも珍しくない。これでは、まるで親子だ。

40歳以上離れている例もあるけれど、こうなると、もう祖父母と孫だ。もっとも、祖母と孫のようなカップルはめったにいないけれど。

年の差カップルはだいたい、父親と娘、祖父と孫娘みたいなのが多い。つまり、男性が思いきり年上で、女性が思いきり年下というカップルが、少なくとも芸能界ではけっこういる。結婚はしていなくても、浮気相手が30歳年下という例も多い。

「なんで男の人は、若い子ばかり好きなの⁉」なんていう声も聞こえてきそうだけど、生物学的には、20代の女性はもうあまり若くない。

10代半ばまでならいざ知らず、20代なら、身体的には十分に成熟している大人だ。寿命が延びたから20代を若く感じるだけだ。

男性が成熟した若い女性を求めるのは、何歳になっても自分の子供を作りたいという衝動が男性にすり込まれている可能性が考えられる。

年を取っても、若い女性とつき合って子供を作ると、自分の遺伝子を2分の1残せることになる。男性には閉経がないこともあって、年齢による性的な衰えは女性ほどではない。正確なことはまだわかっていないけれど、関心が孫でなく、若い女性に向かう理由はそういうところに隠れているのかもしれない。

一方、女性は一般的に、50歳くらいを過ぎると、若い男性とつき合いたいとは思わないんじゃないかな。子供を作りたいとも思わなくなるし、そもそも子供を産む能力自体もなくなってしまうから、関心は若い男より孫に向かう。孫には自分の遺伝子が4分の1入っているから、孫の生存を助ければ自分の遺伝子を残すことにつながる。

今は、男女ともに非常に長生きするようになったから、男性が40代、50代、60代……になっても、20代くらいの女性とつき合えるようになったとも考えられる。早くに死んでしまったら、年齢差が30歳も40歳も開いたりすることはありえないから。

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