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好かれようと思わなくて大丈夫...取材のプロが教える「関係が深まる会話の方法」

井手隊長(ラーメンライター)

2024年06月19日 公開 2024年12月16日 更新

好かれようと思わなくて大丈夫...取材のプロが教える「関係が深まる会話の方法」

コミュニケーションの難しさを感じている人は多い。目上の人や得意先などと、どのように円滑に話が進められるのか、日々悩んでいるビジネスパーソンもいることだろう。コミュニケーションのプロであるインタビュアーはどんなスキルを持っているのか、なにを大事にしているのか。年間100本以上の連載を持つ取材のプロ、ラーメンライターの井手隊長が語る。

※本稿は、井手隊長著『できる人が知っている「ここだけの話」を聞く技術』(秀和システム)より一部抜粋・編集したものです。

 

わざわざ苦手な人の顔を見なくてもいい

「会話をするときは、人の目を見てしゃべりましょう」

よく会話やコミュニケーションの理想として、本やメディアで語られることの多い「鉄則」ですが、目を見てしゃべるというのは、そんなに簡単なことではないでしょう。じつは、私もかなり苦手です。

むしろ、相手の目から自分の目をそらさずに、ずっとしゃべることができる人というのは、結構レアなのではないでしょうか?

自分が逆の立場でも、ずっと目を見ながら語り掛けられ続けると、割とビビッてしまうものです。

たたでさえ難しいのですから、とくに苦手な人やレジェンドクラスの人の目をずっと見ながらしゃべるというのは至難の業だと思います。

そこで出てくるのが、やはり「本来の目的は何なのか」という話です。

相手の目から目をそらさずに話すということが目的なのではなく、しっかりと取材することが目的です。

そう考えれば、顔を見ることに集中する必要はまったくないと思います。

 

相手だって目を見られることは苦手と思っている

実際「マイティア」などの点眼液で知られる千寿製薬のおこなった「瞳のチカラ白書(2021年度版)」によると、人と話をする際に「人の目を見て話すことが苦手」と答えた人は全体の49・4%にも上っています。

さらに、話をする際に「相手から目を見られることが苦手」な人は、全体の47・6%もいるそうです。

「相手の目を見て話すこと」はコミュニケーションの基本と言われながら、実際には目を見てしゃべってほしい人ばかりではないということです。

そして、目を見てしゃべれる人ばかりではないということも、多くの人はわかっています。

ですから、無理して相手の目を見つめるのではなく、目の前の「今ここの取材」に集中しましょう。

日本は歴史の名残か、おもてなし文化の延長か、少しマナーにうるさすぎるきらいがあります。

最低限のマナーを守っていれば、あとは相手に合わせてどう振る舞うかだけです。

マナーに振り回されすぎず、本来の目的に立ち返ってみましょう。

 

ジェスチャーや笑顔よりも、人は質問(関心)が嬉しい

たまに取材で、大げさなジェスチャーや笑顔を作るインタビュアーがいます。

もしかしたら「取材のときは緊張するものなので、笑顔はいつもの2割増しで」みたいなマニュアル本を読んできているのかもしれません。

しかし、そういう方の取材だと、逆にこちらが気後れしてしゃべりにくくなります。

作り笑顔の前に壁ができて、非常にむず痒い空気になってしまうものです。

はっきり言って、無理なジェスチャーや笑顔は、薄っぺらで気持ちの悪いものです。そういう偽りの表情や身振り手振りは、相手にもわかってしまいます。

私が取材を受ける際に気になった仕草としては「やたら頷く」「こちらが大した話をしていないのに無意味に驚く」「わかっている感を出しながら話を聞く」などいろいろあります。

どれも共通しているのは、大げさで薄っぺらであることです。

やはり肝は、そこではありません。

相手が何に喜ぶのかというと、自分に対する「関心」が嬉しいのです。

つまり大事なのは、聞き手が自分に関心を持って質問を投げ掛けてくれているか、そしてそれが伝わるかということでしょう。

 

無理して好かれようと思う必要はない

苦手そうな人やレジェンドクラスが相手であっても、関心があることがしっかりと伝わると、壁はおのずとなくなっていくものです。

「この人は緊張しているようだけど、しっかりこの取材に向けて準備してきているな」

「口数の少ない人だが、なかなか鋭い質問をしてくるな」

相手にこう思ってもらえればよいのです。

その場を取り繕おうとせず、素直に関心をまっすぐ相手に向けましょう。

一流と呼ばれる記者やインタビュアーは、みんな笑顔が素敵でジェスチャーの豊富な方ばかりでしょうか?

むしろ強面な方や、リアクションの少ない方も多いのではないでしょうか?

こういう方々は、圧倒的な知識や独自の切り口で自分の道を切り開いています。プロは、うわべではなく、自分のフィールドの中でとことん勝負するのです。

人は「ピンチだな」と感じたとき、どうしても考えすぎてしまうものです。それがどんどん裏目に出てしまう傾向にあります。

そういうときこそ、シンプルに素直に取材を進めていくことをオススメしたいです。

相手に無理に好かれようと思う必要もありません。

「嫌われなければ大丈夫」ぐらいに考えて、無駄に萎縮せず、虚勢を張らずに素直になりましょう。

人は、そう簡単に嫌われることはありません。

 

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